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〈読書日記〉『針子の乙女』ゼロキ

タイトル 針子の乙女
著者   ゼロキ
イラスト 竹岡美穂

 

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〈あらすじ〉

蜘蛛の魔物と契約をかわすヌィール家の家系は魔力を込めて糸を縫う「加護縫い」の技術があった。

ヌィール家の家系に生まれたユイは、ただ一人「加護縫い」ができず、ヌィール家の家族から無能な娘として虐待を受けていた。

家族から疎まれ虐げられていたユイの唯一の友達は、屋敷に住まう精霊たち。

ユイは精霊の衣服を繕っては、精霊たちと仲良くしていた。

ある日、ユイはカロスティーラ・ロダンに「針子」として引き取られることになり、地獄の日々から脱却。

優しくしてくれたロダンに恩返ししたいユイは「針子」としての隠された真の力が開花して…。

 

〈感想〉

これは本当に美しい話。

ムギューと抱きしめたくなるような可愛らしい妖精さん、一瞬にして心奪われる白石の美少女、ファンタジーにはつきものの手に汗握るバトルが、これ一冊で味わえます。

でも、この物語で一番気に入っている部分は、やっぱり主人公が妖精さんと一緒にせっせと縫い物をしているシーンかな。

引き取られたロダン家の人々に、加護縫いのついた匂い袋を主人公が丹精込めて作ったシーンが印象的。

主人公が針と糸を持ってチクチクしていると、屋敷に住んでいる妖精たちがわーと集まってきて、縫い物を手伝ってくれるんです。

光がほのかに差し込む作業部屋で、妖精さんたちと健気にプレゼントを縫いあげる姿が読んでいてとてもかわいいのですよ。

みなさん。

なんかおとぎ話に出てくるお姫様みたいだな。

白雪姫もシンデレラもネズミさんとか小鳥さんと楽しそうにうふふあははとお話ししていますよね。

主人公が春の野を渡る風のように優しい手つきで妖精と共に縫い物をしている彼女を見るととても癒されます。

ほのぼの。