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『バカと無知』橘玲 -読書日記

タイトル 『バカと無知』
著者   橘 玲

 

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〈内容〉
正義のウラに潜む快感、善意の名を借りた他人へのマウンティング、差別、偏見、記憶……人間というのは、ものすごくやっかいな存在だ。
しかし、希望がないわけではない。
一人でも多くの人が人間の本性、すなわち自分の内なる「バカと無知」に気づき、多少なりとも言動に注意を払うようになれば、もう少し生きやすい世の中になるはずだ。
科学的知見から、「きれいごと社会」の残酷すぎる真実を解き明かす最新作。
ーアマゾンより引用


〈ひとこと〉
この本はお気に入りのユーチューバーが紹介していたのをきっかけに手に取りました。
いじめは無くならない。
これが著者の考え。
人間の脳は、他人を陥れたり仲間はずれにすると快楽物質が放出されるという。
それは人は人を虐げるときに快感を得るということだ。
なぜかって?
それは原始時代に人間は50人〜100人ほどのコミュニティで生活していたから。
コミュニティの外には危険な肉食獣がウヨウヨ跋扈している。
その時の人類にとって、コミュニティから排除されるということは死を意味していた。
だから人類は集団で生き残るために、自分たちの足を引っ張る邪魔者をコミュニティの外へ排除することで、厳しい自然界を生き抜いてきた。
今はどうだろうか。
周りを見てみる。
社会はとても進歩し、福祉や教育も充実している。
人が人を見捨てることはほとんどなくなり、今まで排除されるはずだった者は、手厚い保護の対象になり、見捨てられることは無くなった。
でも、人が人を排除しようとする残酷な本能だけは、欠けることなく連綿と受け継がれている。
この本で感じたこと、それはこの社会が「見捨てないけど、死なない程度に人を傷つける社会」だということ。
身に覚えがあるんじゃないかな。
SNSに書き込む誹謗中傷、気に食わない上司に対する陰口、芸能人のスキャンダル(トップの人間が転がり落ちる様をみると、どこかホッとするあの人間心理)。
全てが事実。
全てが現実。
愛は世界を救えない。
蔓延るのは酷薄な悪路趣味のみ。
世界はそんなに寂しかったのかと、この本を読んで慄然した。