『貸し本喫茶イストワール』 川添枯美-読書日記
タイトル 『貸し本喫茶イストワール』
著者 川添枯美
イラスト 越島はぐ
〈あらすじ〉
若くしてデビューしたが作品が書けなくなった小説家の晃司は、喫茶店の住み込みバイトをすることに。 イストワールは、有名無名の作家たちが書き下ろした“同人誌”を貸し出す風変わりな喫茶店。
そこで晃司は幼馴染の文弥子に再会し…。
ーアマゾンより引用
〈ひとこと〉
面白い本だった。
主人公は作家の男の子。
彼はあるトラウマがきっかけで、本が書けなくなってしまう。
スランプに陥った彼は、心機一転、貸本屋喫茶でアルバイトをすることになる。
そこで彼が出会ったのが、司書の女の子。
この物語のどこが素晴らしいかと言うと、登場人物全員が本を愛していることと、物語を書く作家の熱意が伝わってくることだと思う。
主人公の男の子は、自分の書きたい物語と読者が求める物語に隔たりがあることに悩んでいた。
彼は本が好きだ。
そして、物語を書くのも好きだ。
でも、売れるのは読者が求める要素をただ羅列しただけの、自分らしさを書いた物語。
そんなことは度外視で、自分の心から書きたい作品は全く売れなかった。
主人公は物語が描けなくなるほどのトラウマを抱えてもなを、本を愛することをやめられなかった。
アルバイト先の貸本屋喫茶で大量の本に埋もれるうち、お客さんにおすすめの本を紹介したり、お客さんが楽しんで本を読んでいる姿を見たり、お客さんから本の感想を聞いたりしているうちに、物語が描けなくて萎れていた主人公だったが、しだいに生き生きと本と向き合うようになっていく。
こんなに打ちのめされてなお、本が好きで小説を書こうと躍起になる主人公を見て、好きなことは何があっても揺るぎないんだなあと思ってしまう。
そして、今まで多くの人が喜ぶ作品を描いてきた主人公だったが、目の前にいるたった一人のための物語を描こうと心に決める。
主人公が四苦八苦、粉骨砕身の努力で物語を書く姿を見て、僕も物語が書いてみたくなった。
まあ、実はもともと趣味で短編小説を書いては、ウェブの小説投稿サイトに自分の作品を挙げていたのだが、ここ最近、めっきり作品を描いていない。
今まで書き上げた作品は、短編が5篇。
素人に毛が生えた程度の実力である。
今年の一月に書き始めて、そのままほったらかしになっていた書きかけの物語が、この『貸し本喫茶イストワール』をきっかけに、考えられないスピードで完成へと邁進していった。
思えば僕は主人公のように、100人いたら100人が喜ぶ物語を描いたことがない。
僕の作品は、100人読者がいるとしたら、共感してくれるのは100のうちせいぜい1かゼロっていうような、そんな自由奔放な作品ばっかだと思う。
僕のポリシーとして「自分が読んで面白いと思った物語をかく」という、漠然とした決まりみたいなものがある。
なぜなら僕の書く物語の一番の読者は、作者である自分だからだ。
自分が心から愛せる物語を描かないと、一番の読者である自分もなかなか納得してくれない。
僕の物語は、僕の、僕による、僕のための物語であることが第一条件なのだ。
物語のタイトルは『小説家とペン』。
命の宿ったペンが持ち主の小説家に恋をするという物語だ。
小説投稿サイト・カクヨムで「ことはたびひと」とペンネームを検索すると、僕のアカウントがヒットすると思う。
(我ながらかっこいいペンネームを考えてしまったものだ。名前負けしている感がいなめない)
興味のある方はぜひ、僕の作品を読んでみてほしい。
ペンネーム: ことはたびひと
プラットフォーム: 小説投稿サイト・カクヨム
〈今までの作品〉
『僕が小鳥になったわけ』-完結済み
『図書館の恋は連綿と』-完結済み
『ピアノマンと歌姫』-完結済み
『世界の終わりの実験』-完結済み
『文学少年の初恋』-完結済み
『小説家とペン』-連載中&未完成
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