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『ifの世界線』SFアンソロジー-読書日記

タイトル 『ifの世界線

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〈内容〉
 歴史は変えられる――物語ならば。
 色とりどりの“if”の世界に飛び込む、珠玉のSFアンソロジー
ーアマゾンより引用

 

〈収録〉
石川宗生 『うたう蜘蛛』
宮内悠介 『パニックー1965年のSNS
斜線堂有紀『一一六二年のlovin’ life
小川一水 『大江戸石廓突破仕留』
伴名練  『二〇〇〇一周目のジャンヌ』

 

〈ひとこと〉
 最近、10日に一冊はSF小説を読んでいる気がする。
 伊藤計劃さんの『ハーモニー』を読んでから、どっぷりとSF小説には松までいる僕。
 今回は『日本SFの臨界点』に引き続き、有名作家さんが集まったSFアンソロジーを読んだ。
 特に心に残っているのは、斜線堂有紀さんの『一一六二年のlovin’ life』が印象的だった。舞台は平安時代の日本。そこではなぜか、平安時代にもかかわらず海外の言語・英語が広く一般的に浸透していた。後宮の貴族たちは、和歌を読みその和歌を英訳することで、己の教養と風情を誇示する。天皇の妻である式子は、和歌は読めるがそれに似合った英訳ができず、鬱屈した気分を抱えていた。和歌を英訳できないと人前で披露できず、人前で頑なに和歌を読まない式子を、宮中のかんだちめたちは彼女のことを蔑視していた。そんな中、式子は新しいお世話係として帥(そち)を迎えることになる。彼女は和歌に関する能力はからきしであったが、英語に関する知識は宮中随一であった。式子の和歌を帥が英訳するたび、今まで隠されてきた式子の和歌の天賦の才能が開花。自分の才能を見出してくれた帥に親友としての絆が芽生えるのを感じる式子だったが、帥と和歌の英訳を続けるうち彼女は帥に対して"Love"という感情を覚えてしまう…というもの。
 SFとはサイエンスフィクションの略。
 『一一六二年のlovin’ life』は平安時代の貴族が英語を話している異常さだけで、SF特有のサイエンス感が全く感じられなかった。
 英語が平安時代の日本に広まっているというのは、まあ、ありえないことが起こるという、広い意味でのSFの定義当てはめると、それはそれでSFなのかもしれないと、そう納得している自分がどこかにいる。
 まあ、それはそれで置いておいて、僕はやっぱりSF小説に恋愛要素を取り入れた物語が最高に面白いジャンルだと思う。
 伴名練の『二〇〇〇一周目のジャンヌ』(フランス革命で活躍したジャンルダルクが自分の人生がループしてしまい抜け出せなくなってしまうというもの)も面白かったのだが、いかんせん甘酸っぱい感情にかける。
 やっぱり『一一六二年のlovin’ life』で帥に対する式子の感情が、花開く花のようにゆっくりと甘やかに咲き染める姿が、読んでいでぐっと心掴まれた。
 やっぱり愛って素敵だなあと、感慨にふける僕。

 今年に入ってSF小説を5~6冊読んでいるので、最近はSF小説に対する耐性が少し出来上がりつつあるのを感じる。


 そろそろ一歩踏み込んだSF小説に挑戦してみてもいいかな。
 フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』とか劉慈欣の『三体』など、SFの金字塔に手を伸ばそうとしている今日この頃。

 

〈グループ〉

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