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『私たちが星座を盗んだ理由 』 北山猛邦-読書日記

タイトル『私たちが星座を盗んだ理由 』
著者  北山猛邦

 

〈内容〉
夜空から"首飾り座"が消えた少年少女の恋物語を描く表題作『私たちが星座を盗んだ理由』を含む、5篇の短編集。

 

〈ひとこと〉
少しチクリとする物語だった。
北山猛邦『人魚姫 探偵グリムの手稿』を以前読んだことがある。
グリム童話『人魚姫』を題材にしたミステリ)
この短編集に収録されている物語は、以前読んだ物語とは打って変わって、どれもこれもちょっとした毒を含んでいる。
猟奇的というのかな、それとも狂気的というのか、
人間の心にすくう押せば血が滲むような嗜虐的な感情、人の不幸に安心する冷酷で渇いた加虐的な衝動。
そういう人の心の暗い部分が見え隠れする物語だった。
やっぱり人間にとって1番怖いのはニンゲンだよねみたいな、そんなニュアンスをこの短編集からひしひしと感じた。
湖の水に猛毒をポツンとたらしたような、バラのトゲに指をはわせ血がつうと流れるような、そんな苦しくて冷ややかで、それでいて共感できて、現実を知った大人の諦めに似た、退廃感の残る物語でした。

 

〈グループ〉

 

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