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読書日記『浮遊世界のエアロノーツ』森日向

 

タイトル 浮遊世界のエアロノーツ

著者   森日向(もりひなた)

イラスト にもし

 

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〈あらすじ〉

この世界に大地はない。

世界は一度ばらばらに崩れ落ち、人々は大地から切り離された浮遊島で生活をしていた。
とある孤島で両親を待ち続けていた少女アリアは、飛空船乗りの青年・泊人と出会い、両親を捜す旅に出る。
世界を変える《干渉力》の才能を持つが故に人々から疎まれ、心を閉ざしていたアリア。

自由気ままな飛空船乗りの泊人や、文化や価値観の異なる島の住人たちとの交流のなかで、少女は《風使い》としての力を開花させていく――。

 


ー本書より抜粋

 


〈感想〉

森日向さんは『レトリカ・クロニクル』や『声なき魔女と星の塔』を読んだ時から、私にとってお気に入りの作家さんです。

 


特に『レトリカ・クロニクル』を初めて読んだ時は衝撃的で、著者独特のファンタジー世界に時間を忘れて没頭してしまいました。

 


そして『浮遊世界のエアロノーツ』は、彗星の如く私の前に現れた期待の作家・森日向さんの待望の新作です。

 


『浮遊世界のエアロノーツ』で、主人公たち一行は物語の中で四つの浮遊島を訪れるのですが、中でもやっぱり一番最初に訪れた島「ティエル島」のエピソードがお気に入りです。

 


ティエル島は大事に使われた「物」に精霊が宿る不思議な島。

 


第一のエピソードは、骨董屋を営むロイが所有する鏡に宿った精霊「紫音」が、主人であるロイのもとを離れてしまい、アリアたち一行が鏡の精霊・紫苑の捜索に協力するところから話が始まります。

 


最終的にアリアたちは鏡の精霊・紫音をロイのもとへ引き合わせることができるのですが、この二人の出会いがまた涙を誘うのですよ。

 


『紫苑は情けなく目尻を下げて、震える声で言う。「私が精霊のみんなにお願いしたの。私を人間の姿にして欲しいって」ロイが目を見張る。「わ、私ね。ロイのことが好きなの」』

ー本書より引用

 


どうです?

 


このセリフのやりとり。

 


胸がキュンとなりませんか?

 


自分のことを大切に扱ってくれる主人に対して、ほのかな恋心を抱く鏡の精霊の姿が目に見えるでしょう。

 


ロイと紫音の感動的な出会いがどうであったか、二人の行く末が気になる方は、この本を手に取って、直接あなたの目で確かめてください!