『台所のドラゴン』 みよしふるまち-読書日記
タイトル『台所のドラゴン』
漫画 みよしふるまち
原作 縞田理理
女子大学生と子ドラゴンによるほのぼのとした日常を描いたゆるほわ漫画。
〈あらすじ〉
1980年代、東欧。日本人留学生・ののが買ってきた卵から孵化したのは、トカゲのような生き物。
成長するにつれて、伝説のドラゴンに近づいていき…。
一人と一匹が暮らす、欧州舞台日常ファンタジー。
ーアマゾンより引用
〈ひとこと〉
このマンガを知ったきっかけは、Twitterで気になる本を探していたらふと目についたのがきっかけ。
陽の光が差し込む牧歌的なリビングに黒髪の女性と緑色のドラゴン。
表紙を一目見ただけで僕はこのマンガに読書意欲を掻き立てられた。
1巻から2巻のこのマンガは、女の子と子ドラゴンののほほんとした日常に、ふふっと思いながら読んでいた。
けれど3巻4巻になると、ドラゴンも成長して家に入りきれなくなってしまう。
そうなると女の子は山の奥でドラゴンを育てることになるのだが、ドラゴンの成長と人間社会の摩擦が少しずつ目立つようになっていく。
例えば、ドラゴンと出会った人間がドラゴンとトラブルにならないよう、人里離れた山奥で女の子はドラゴンをひっそり育てたり、森林警備隊にドラゴンを捕獲されそうになった時は、女の子は慌ててドラゴンを洞窟の中に隠したりしていて、人の目を気にしながらドラゴンを育てる女の子の姿が目立った。
なんか雰囲気は上橋菜穂子さんの『獣の奏者』と似ているように僕は感じた。
『獣の奏者』では、王獣(巨大な翼に爪の生えた二本の大きな脚を持つ聖なる獣。決して人に馴れず、また馴らしてはいけないといわれている)と呼ばれる圧倒的な力をもつ巨獣を心を通わせることのできる唯一の人間エリンの葛藤が繊細な文章で語られる。
その葛藤とは、エリンは彼ら王獣を野生のままのびのびと育てたかったのに、戦いの兵器となるように王獣を育成しなければいけないという葛藤だ。
『台所のドラゴン』でも同じような葛藤が描かれる。
女の子は自由に空をかけ陽の光を浴びのびのびと育てたかったに違いないのに、人の目を気にしてこっそりと育てるしかないやるせなさ。
もしもドラゴンが人々の目に触れた時、人はドラゴンを恐れドラゴンを排除しようとするかもしれない。
そしてドラゴンがその爪で人を傷つけてしまったらと、女の子はそれを恐れている。
そういう経験、あなたにもあるのではないだろうか。
例えば猫を飼っていて、家の外をうろうろされたら困るから、ペットをずっと家の中に閉じ込めて家の外に出さないとか。
そして家にずっと閉じ込められ外の世界を知らない可哀想なペットは、自分が可哀想なんて感じていない。
どんな悲惨な状況であっても、ペットはご主人に尊敬の眼差しを向け、いかにも自分は幸せですと言いたげな表情でご主人に向かって尻尾をふる。
心が痛む僕ら人間を差し置いて。
そういう人間のエゴで心苦しくなるのが嫌だから、僕はペットを飼ったことがない。
『台所のドラゴン』は人とドラゴンのほのぼのとした日常を描くハートフルなマンガであると同時に、生き物を飼う責任だとか、ペットにとって真の幸せとはなんなのかとか、生き物との付き合い方について深く考えさせられるマンガでした。
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