『PIHOTEK ピヒュッティ 北極を風と歩く』 荻田泰永・井上奈奈-読書日記
タイトル『PIHOTEK ピヒュッティ 北極を風と歩く』
文 荻田泰永
絵 井上奈奈
〈あらすじ〉
たった一人で北極の大地を歩く冒険家・荻田泰永の命の旅路。
“イヌイットの友人の一人(初老のハンター)が、ある日私に名前を与えてくれた。
イヌイットたちは、他の地域からやってきた者に対し、親しくなると名前を与える。
「お前はイヌイットネームを持っているか」と問われ、持っていないと答えると「じゃあ、名前をやろう」そういって手元にあったメモ用紙にボールペンでサラサラとアルファベットを書き出した。
「PIHOTEK」そう書かれていた。
「読み方は?」そう聞くと「ピヒュッティ」と答えた。
(略)
「ところで、この名前はどういう意味?」そう尋ねると「雪の中を旅する男って意味だ」と言う。(略)
「スノーウォーカー(Snow walker)って意味だな。お前にピッタリだろ」そう言って彼はニヤッと笑った”
ー本文より抜粋
〈ひとこと〉
僕は北極という場所に、言葉にできない憧れを抱いている。
北極に興味を持ったきっかけは、極北の自然の営みを撮り続けたカメラマン、星野道夫の本を読んだのが大きい。
うーん、代表作を挙げるとすると、写真集『グリズリー』やエッセイ『旅をする木』が有名かな。
まあ、星野道夫のことは彼の本や写真集を読んだ時に嬉々として語ろうと思うので、ここではあえて彼のことは語らないでおこうと思う。
秘すれば花って言うしね。
僕は「自然」とか「旅」という単語が好きなんだと思う。
川の流れを聞き、木々のざわめきに耳を傾けるのは、とても心地がいい。
見ず知らずの場所に単身でヒョイと乗り込むのも心が踊る。
それゆえに、高校でも大学でも、僕は登山部に所属していた。
誰もいない自然の中を歩きたかったんだ。
それは隠しきれない僕の性だ。
だから極北の氷海の上を、ソリに荷物を乗せ、髪の毛すら凍りついてしまう極寒の中、たった一人旅をする作者の背中は、僕の目にはとても大きく見えた。
たぶん僕の心の中にいる「旅人」の延長線に、星野道夫やこの本の作者さんがいるのだと、本能的に理解したからだろう。
憧れの人の背中は大きい。
自分の「好き」を追求したその先に、彼らのような冒険者が待っているのだろうか。
追いつけるだろうか。
並べるだろうか。
わからないが、憧れとか目標とかって、自ら向かっていくものでは無くて、いつのまにか辿り着いているものという認識が強い。
だから僕は自分の好きを追求しながら、気ままに暮らしていこうと思う。
いつか頂上に辿り着いているはずだから。
今年の夏は仕事の合間を縫って八ヶ岳に登りにいこうと思う。
ああ、でも上層亀山で釣りをしながらキャンプもいいな。
台湾にも行きたいし…。
ああ、もう、行きたい場所がいっぱいある。
行きたい場所がありすぎて悩む今日この頃。
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