読書日記『終焉ノ花嫁3』綾里けいし
タイトル 終焉の花嫁 3
著者 綾里けいし
イラスト 村カルキ
〈あらすじ〉
人類の敵【キヘイ】が世界を蹂躙して幾年。
魔導学園・黄昏院を設立し、人々はその脅威に抗戦を続けていた。
【逢魔ヶ時】打破を祝う祭りでの【最悪の結末】を回避したコウは【研究科】時代の同級生のアサギリ、イスミと交流をするようになる。
平穏な時を過ごすある日、コウはアサギリから告白される。
翌日、コウはイスミから驚愕の事実を伝えられる――アサギリが遺跡で行方不明になったと。
彼女を探し遺跡を捜索するコウの前に新たな【キヘイ】の王が現れ、コウは【キヘイ】の謎を知ることになる――。
最愛の【花嫁】達のために、コウが選択した道とは――?
〈ひとこと〉
主人公であるカグロ・コウの選択に違和感を覚える。
もし僕が"正義の味方"だったら、彼のような選択はしないと思う。
2巻の敵は人々を守るヒーローになりたかった年はもいかない少女だった。
彼女は自分の意に反し悪の組織に利用され多くの命を奪ったがゆえに、主人公に切り伏せられた。
3巻の敵は自身の生徒を守らんとした女教師だった。
一部の人間を切り捨て大多数の命を救おうとした彼女は、やはり主人公に刺し殺された。
1巻から3巻を読んで、主人公に問いたいことがある。
それは彼女ら的キャラクターをほんとうに"殺す"必要があったのかという問いだ。
彼にも葛藤があっただろうが、敵キャラクターとの"共存"という道はなかったのだろうか。
この物語は"キヘイ"という人類の敵に立ち向かうSFファンタジーでありながら、同時に"正義"とはなにかを強く問いかける物語だった。