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読書日記『終焉の花嫁』綾里けいし

タイトル 終焉の花嫁
著者   綾里けいし
イラスト 村カルキ

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〈あらすじ〉
「拘束を、隷属を、信頼を、貴方に――約束しよう、貴方のために全てを殺すと」 突如出現した脅威【キヘイ】が世界を蹂躙して幾百年。人類は対抗手段として魔導学園・黄昏院を設立し、日夜戦闘が繰り返されていた。 運命の日、魔導研究科所属のカグロ・コウは【キヘイ】の死骸回収のため、とある遺跡に出向き、不運にもその命を散らした……はずだった。【キヘイ】の少女に救われるまでは。 「初めまして、愛しき人よ――我が名は【白姫】。これより先、私は永遠に貴方と共にあります」 物語の中の騎士のように、御伽噺の中の姫のように、目覚めた少女は告げる。それが終わらない地獄の始まりになろうとも知らず。

 

〈ひとこと〉
恋の物語だった。
あかぐろいバラのような、まがまがしくとも甘美な余韻をたたえる恋の物語。
花瓶の花が少しずつ減っていって、水を入れ替え空気を入れ替えやっと形を保っているような、萎れてしまってもなんとか咲いているような、そんな健気な恋にぐっと心掴まれる。
これはファンタジーであり、人と人外の戦いの記録であり、肺に水が溜まって息苦しさをともなうような恋の物語でもあった。