『私の少年』 高野ひと深-読書日記
タイトル『私の少年』
著者 高野ひと深
〈あらすじ〉
30歳のOLと12歳の小学生が出会い、求めあい、すがり合う。
いつしか二人は互いにとって大切な存在へ。
それは恋か、それとも孤悲か。
〈ひとこと〉
不登校の高校生が学校の国語教師に恋をする物語で、「愛”よりも昔、“孤悲”のものがたり」というキャッチコピーがなんとも素敵。
"恋"を"孤悲" と表記するところ深みがあっていい。
まあ、そーゆー、なんだろう、僕は儚い恋物語というものが好きなんだ。
特に"してはいけない恋"というのに弱い。
以前読んだ恋愛漫画も女子大生が非道のヤクザに恋をする『潜熱』だったり、女子高校生がバイト先のアラサー店長に恋をする『恋は雨上がりのように』だったり、普通ならありえない恋物語ばっかだ。
で、今回の『私の少年』もこんな"してはいけない恋物語"だった。
一巻でヒロインの女性が12歳の男の子に出会うんだけど、まだその時は二人に恋愛感情なんてなかった。
女性の方はかわいそうな男の子がいるな、この子を守らないとなという庇護欲、母親をなくした男の子の方は母を慕う純粋無垢な甘えを、代わりに目の前に現れた女性に抱いた。
でも、少年が中学生、高校生と成長していくにつれ、互いに抱く感情は恋心へと変化してゆく。
二人の恋は側から見れば、「大人が子供をたぶらかした」としか見えない、してはいけない恋だった。
鏡に映った自分の姿のように、もう二人は離れられない。
あー、やっぱり好きだなこういう渇きに似た溺れるような悲しくて寂しい恋物語。
〈グループ〉