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『日本SFの臨界点-怪奇篇』 編者-伴名練

タイトル 『日本SFの臨界点-怪奇篇』
編者    伴名練

日本を代表するSF短編のアンソロジー

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〈内容〉 
「2010年代、世界で最もSFを愛した作家」と称された伴名練が、全身全霊で贈る傑作アンソロジー
幻想・怪奇テーマの隠れた名作11本を精選。
全作解題のほか、日本SF短篇史60年を現代の読者へと再接続する渾身の編者解説1万字超を併録。
ーアマゾンより引用

 

〈収録〉
中島らも『DECO-CHIN』
山本弘 『怪奇フラクタル男』
田中哲弥『大阪ヌル計画』
岡崎弘明『ぎゅうぎゅう』
中田永一『地球に磔にされた男』
光波耀子『黄金珊瑚』
津原泰水『ちまみれ家族』
中原涼 『笑う宇宙』
森岡浩之『A Boy Meets A Girl 』
谷口裕貴『貂の女伯爵、万年城を攻略す』
石黒達昌『雪女』

 

〈ひとこと〉
 以前、伊藤計劃さんの『ハーモニー』を読んでからSF小説に興味を持った。
 SF小説の金字塔といえば劉慈欣の『三体』やフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』などが挙げられるが、僕の知っているSF小説の有名作品はどれもこれも外国人作家によるものだった。
 日本のSFってどんなものなのだろう。
 ふと疑問に思い僕は本書を手に取った。
 『日本SFの臨界点』は日本人作家によるSF短編が多数収録されたSFのアンソロジー
 日本のSF小説を知りたい僕にとってとても都合のいい本だった。
 このアンソロジーの中で特におすすめなのが、岡崎弘明さんの『ぎゅうぎゅう』と森岡浩之さんの『A Boy Meats A Girl』だ。
 『ぎゅうぎゅう』は人が座る場所もないほどのすし詰め状態で立ち尽く世界で、青年が生き別れた女性に会いに旅に出る物語。青年とその女性は生まれた時から顔を向かい合わせて育ってきた。ところがある事件をきっかけに、青年と女性は離れ離れになってしまう。人が立ち尽くすこの世界で、もう一度彼女と再会することは困難を極めた。なぜならこの世界ではあらゆる移動行為禁止されていたからだ。一人の安易な身動きで町中で立ち尽くす人々がいっせいに雪崩崩れるドミノタオシが発生しかねない。青年は以上に人口爆発したこの世界で危険を顧みず彼女を探す旅に出るというのがこの物語のストーリー。
 対して『A Boy Meats A Girl』は意志をもった少年の惑星が、膨大な宇宙空間で奇跡的に少女の惑星に出会うというもの。少年の惑星は彼女に出会うまでは、眠っては覚めてそしてまた眠ってを繰り返していた。自分が何のために宇宙空間を漂っているのか、少年にはわからない。少年は自身の退屈な人生に飽きることなく、そして人生の退屈さにすら少年は気がついていなかった。そんな時、少年は彼女に出会い、不思議と彼女に惹かれていく。そんな物語。
 まあ、二つの物語から分かる通り、SF小説にしてもなにしろ「恋愛」の要素が絡む胸焦がすような物語が好みなようだ。
 SFと恋愛を掛け合わせたような物語ないかな?
 ちょっと探してみよう。
 そう思った今日この頃。

 

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