『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』 枯野瑛-読書日記
タイトル
『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』
著者 枯野瑛
〈あらすじ〉
目を覚ましたら人類は滅亡していた。
地上は人類を根絶やしにした〈獣〉で溢れ、人類を除く生き残った亜人種は地上を追われ、空の浮島での生活を余儀なくされていた。
今、この世界で〈獣〉と戦うことのできる者は、カリヨンと呼ばれる古代兵器〈聖剣〉とそれを扱う少女の妖精兵のみ。
彼女たちの監督官となった人類最後の人間ヴィレムは、命をかけて敵と戦う宿命にある彼女たちの悲壮な想いを胸に受け止め、彼は彼女たちを死地へ送り出してゆく…。
〈ひとこと〉
『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』を1〜5巻読んでみて、この物語はちょっと異色なテイストを帯びているなあと感じた。
ファンタジー要素のあるライトノベルであるのにも関わらず、この物語は戦闘シーンが一切ない。
世界を滅ぼす〈獣〉と生存をかけた命懸けで身を賭す妖精たちの戦闘劇。
それだけ聞けば世界の終わりを防ぐために主人公たちが戦って戦って戦いまくる物語のように聞こえる。
でも、全然戦わないんだ、それが。
この物語のテーマは「命懸けの戦闘に望む彼女らが〈獣〉との戦いを前に何を考え、どう行動するか」とか、「〈獣〉との命懸けの闘いから帰還した彼女らのゆくすえ」とか、多分そういうのなんだと思う。
この物語の重要なテーマは闘いの外にある、少女たちの不安定にゆれ動く心のありようだ。
「必ず生きて帰って来いよ」
少女はこの言葉を胸に死地へ赴く。
たとえ勝ち目のない戦闘であったとしても。
たとえ全滅は必死の絶望的な状況であっても。
そらでも彼女は一縷の希望と万感の思いを胸に戦場へ赴く。
好きな人に「ただいま」を言うために。
好きな人の元へ戻って来るために。
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