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〈読書日記〉『好き好き大好き超愛してる』舞城王太郎

タイトル 好き好き大好き超愛してる

著者   舞城王太郎(まいじょうおうたろう)

 

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〈あらすじ〉

愛は祈りだ。

僕は祈る。

僕の好きな人たちに皆そろって幸せになってほしい。

病に犯され辛い闘病生活を送る女性と彼女を愛した青年の物語『智依子』、ガンで亡くなった女性と彼女を愛した小説家の物語『柿緒I・II・Ⅲ』、夢の中で出会った少女に恋をした少年の物語『佐々木妙子』、神に挑むため命懸けで出兵する彼女とペアを組んだパイロットのSF世界を描いた物語『ニオモ』を収録した舞城王太郎の恋愛をテーマにした短編集。

 


〈感想〉

なかなか人目を惹くタイトルですよね。

インスタで紹介されていたのを見て、さっそく購入。

どんな恋物語が収録されているのか、ワクワクドキドキしながら本のページをめくる。

意外だった。

こんなにも心がじわっと熱くほてるような物語が収録されているなんて。

『柿緒Ⅲ』の彼女と青年の会話がとても情熱的で心揺さぶられた。

この短編のヒロインは不治の病を患い、余命わずかのいじらしく健気な女性。

彼女の恋心が病によって命の灯火とともに徐々に翳りを見せる様だったり、床に伏してもなお灰をかぶったうずめ火のように主人公を想う恋心が、手にすると火傷するんじゃないかというほどの熱意溢れる言葉たちで語られる。

『柿緒が僕に言った。「私も治のことが好きだった」と。過去形だった。僕と柿緒の恋愛はもう既に過去のことなのだ。既に死が柿緒を飲み込んでいる。ああ、でも僕の大好きな柿緒は強い!「好きだったじゃない。今でも好き。これからもずっとずっと好き」と柿緒は抗う。生を取り戻そうと生へと戻ろうと懸命なのだ。』(一部加筆)

消えないように懸命に灯るロウソクの小さな炎のような恋に、思わず息が詰まる。

酸素を得て勢いを増した爆炎のように熱くたぎる恋に、気がつけば熱い吐息が漏れる。

身を焦がすほどの恋愛小説をお求めの方は、ぜひ舞城王太郎著『好き好き大好き超愛してる』を読んでみてください。