〈読書日記〉『星天の兄弟』菅野雪虫
タイトル 星天の兄弟
著者 菅野雪虫
〈あらすじ〉
ある王国の小さな村に、高潔な学者が住んでいた。
学者には母親のちがう息子が二人おり、兄は物静かで賢く、弟は天真爛漫で美しいことで評判だった。
父が反乱に加担した疑いで捕らえられたことで、二人の運命は一変する。
罪人の子という重い軛を負うことになってしまった兄弟。
互いを思いやりながらも別々の道をゆく二人の運命は?
〈感想〉
艱難辛苦なんじを玉にす(かんなんしんくなんじをたまにす)ということわざを聞いたことがあります。
あらゆる困難に立ち向かい乗り越えることで、人は立派に成長するんだよといったニュアンスの言葉だった気がします。
じつはこの物語を読むのは二回目です。
一度目はコロナ禍に突入し、少しひまを持て余していた2021年の冬。
大学の授業がコロナで軒並みオンライン授業に置き換わって、親のすねをかじってくすぶるような学生生活をしていたころ。
目標もないし夢もない、自分の就きたい職業もわからない、あまつさえやる気もないぐだぐだライフを満喫していた当時の私は、この本を読んで衝撃をうけました。
この身に降り注ぐ困難をものともせず、「今」という時を誠心誠意全力で生きる主人公たちの姿が、私の目からはトンネルの先からもれる光のように輝いて見えたから。
このようになりたい!
いや、このように生きたい!
せつに願った。
ひとつ、なんでもいい、どんなにちっぽけなことでもいい、なにか始めてみよう。
そういう経緯があってこの読書ブログを開設しました。
まわりからは「え、あいつがブログ?似合わな、ぷぷ」みたいな目で見られたり、最初の意気込みはどこえやら更新頻度がだんだん減っていくなど、自分の胃に穴が開きそうな困難が次から次へと押し寄せてきます。
心が折れそうです。
その程度の困難でなにをめそめそしているんだ、私の方が今大変な目にあっているんだぞとか言わないでくださいね。
泣きます。
心が乾いた音をたててひしゃげます。
でも、すぐにでも逃げ出したくなるのをぐっと押さえて、こういう小さな困難を少しずつ乗り越えていく。
そうすることでちょっとずつ生きることに自信がついていくのかなぁ、なんて思ってます。
自分にはたいそうな将来の夢もないし目標もない。
そんな自分でも、人に誇れるくらい全力で生きることができるでしょうか?