コトノハライブラリー

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読書日記『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』

タイトル 阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし
著者   阿佐ヶ谷姉妹
     渡辺江里子 (姉)
     木村美穂 (妹)

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〈内容〉
40代・独身・女芸人の同居生活はちょっとした
小競合いと人情味溢れるご近所づきあいが満
載。
エアコンの設定温度や布団の陣地で揉める一方、ご近所からの手作り餃子おすそわけに舌鼓。
白髪染めや運動不足等の加齢事情を抱えつつもマイペースな日々が続くと思いきや――。
地味な暮らしと不思議な家族愛漂う往復エッセイ。
ーアマゾンより引用

〈ひとこと〉
母の部屋を訪れた時、積どく本になっていたこの本が目に止まった。
淡いピンク色の装丁とほのぼのとした彼女らのイラストに、なにか牧歌的なものを感じて、思わず手にとる。
この本を知って初めて知ったのですが、六畳一間の賃貸に姉妹二人で共同生活しているらしい。
すごいなぁ。

読書日記『灰と幻想のグリムガル 2』十文字青

タイトル 灰と幻想のグリムガル 2
著者   十文字青
イラスト 白井鋭利

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〈あらすじ〉
目が覚めるとそこは見知らぬ世界だった。
グリムガル。
それがこの世界の名だ。
グリムガルの世界に迷い込んだハルヒトはランタ、モクゾー、ユメ、シホル、メリイとパーティーを組み、魔物の蔓延るグリムガルの世界を生き抜いていくことになった。

世界で生活をするようになって半年、ハルヒトたちは経験を積んでようやく半人前から抜けだそうとしていた。
ステップアップのために新たなダンジョン「サイリン鉱山」へと挑むのだが、そこはパーティに加わったメリィが過去に仲間を失った場所でもある。
順調に探索をするハルヒト一行だったが、ダンジョン探索中にランタとはぐれてしまう。
ハルヒトたちは無事ランタと合流できるのか?

〈ひとこと〉
僕は物語に登場する主人公には、明るくハキハキと振るまってほしいと思っている。
主人公はやっぱりカッコいい雰囲気を纏っていなければ。
しかし『灰と幻想のグリムガル』1巻にでてくる主人公はどうだろうか。
優柔不断でてんでやる気が感じられない。
主人公を取り囲むパーティーのみんなもぐだぐだしていて覇気がない。
正直、読むのが退屈になってくる。
しかしパーティーからマナトが離脱してから、メンバーの状態が変わった。
このままじゃダメだと切磋琢磨一歩ずつ着実に強くなろうと努力するようになったのだ。
そうなると物語はとても面白くなってくる。
ページをめくる手が止まらない。
主人公の覇気とか意気込みって、読み手の読書意欲にこんなにも影響するのかと気づいた今日この頃。

読書日記『栄養素男子』

タイトル 教えて栄養素男子
監修   女子栄養大学栄養クリニック
イラスト 奥田直子

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〈内容〉
栄養素の特徴を擬人化した50人の【栄養素男子】たち。
彼らが、自分の役割や能力を、時にやさしく、時にきびしく教えてくれるから、胸キュンしながら&妄想をかき立てられながら楽しく栄養学を学べるまったく新しい教科書。

〈ひとこと〉
僕の通っている大学は農学系の大学で、食品栄養学系の研究室に僕は所属している。
教授の本棚には『食品工学』やら『香りの科学』『調理科学大全』など読むのがおっくうになるような専門書がずらっと並ぶ。
いかつい専門書が並ぶ教授の本棚をなんともなしに眺めていると、ちょっと面白そうな本を見つけた。
それが女子栄養大学監修の『栄養素男子』。
キャッチーなイラストが妙に場違いで目立つ。
見つけたそばからすぐ教授に貸してもらった。
ビタンミンC君がかっこよくて、こんな爽やかイケメンに僕もなりたいと心が浮き足立った。

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PS
教授に「どの栄養素男子が僕に一番似てますか」と聞いたら、教授はちょっと逡巡したあと「ミネラルの銅(Cu)?」と困った顔で答えてくれた。
実直そうな清々しい印象のイケメンだ。

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母に同じ質問をしてみると、何も迷うそぶりも見せず「飽和脂肪酸の右」と答えやがった。
バナナマン日村似のぽっちゃりなぶさ男だ。

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どうやら僕の印象はよく言って実直な銅、悪く言ってぽっちゃりぶさ男の飽和脂肪酸、憧れは爽やかイケメンのビタンミンCのしがない大学生なようだ。
ギャップがすごいなあ。

読書日記『灰と幻想のグリムガル』十文字青

タイトル 灰と幻想のグリムガル
著者   十文字青
イラスト 白井鋭利

目が覚めるとそこは異世界だった

〈あらすじ〉
おれたち、なんでこんなことやってるんだ……?
ハルヒロは気がつくと暗闇の中にいた。
何故こんなところにいるのか、ここがどこなのか、わからないまま。
周囲には同じように名前くらいしか覚えていない男女、そして地下から出た先に待ち受けていた「まるでゲームのような」世界。
生きるため、ハルヒロは同じ境遇の仲間たちとパーティを組み、スキルを習い、義勇兵見習いとしてこの世界「グリムガル」への一歩を踏み出していく。
その先に、何が待つのかも知らないまま……。
これは、灰の中から生まれる冒険譚。
ーアマゾンより引用

〈ひとこと〉
どうしても読みたい本に限ってなかなか見つからないものだ。
やっと見つけたと思っても、同じ作者さんが書いたその本とは違う本だったりする。
この物語もそういうふうににして出会った。
実を言うと僕は十文字青さんの『魔法使いと僕』が読みたかった。
でも、家の周りにあるブックオフを片っ端から巡り歩いても『魔法使いと僕』は見つからない。
その代わり、同じ著者が書いた別の物語『灰と幻想のグリムガル』は、訪れた全てのブックオフで見かけた。
なんか、ここまでこの物語が僕の目の前に現れるってことは、それはそれで運命のような気がしてくる。
そういういきさつで僕は『灰と幻想のグリムガル』を手に取った。
ねえ皆さん。
自分が読みたい本ではなく、同じ作者の書いた違う物語を先に見つけてしまった時、どうします?
僕は屈しました。

読書日記『三千円の使い方』原田ひ香

タイトル  三千円の使い方

著者    原田ひ香

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〈あらすじ〉

就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金三十万)。

結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金六百万)。

習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金百万弱)。

そして一千万円を貯めた祖母・琴子。御厨家の女性たちは人生の節目とピンチを乗り越えるため、お金をどう貯めて、どう使うのか?

知識が深まり、絶対「元」もとれちゃう「節約」家族小説。

ーアマゾンより引用

 


〈ひとこと〉

僕は最近、株を始めた。

株で儲けるのは大変だ。

なぜなら星の数ほどの株式会社がこの日本に存在するからだ。

企業の財務状況や事業計画を日夜丹念に調べ上げて、ようやく雀の涙ほどの儲け。

正直なところ割に合わない。

株を始めてわかったことがある。

それは株で500円儲けるより、500円を節約した方がずっと簡単だという事実だ。

この本にも似たようなセリフがある。

"じゃあ、まず、一日百円貯めてみよう。百円なら、ちょっとしたお茶代とかコンビニスイーツとかで節約できるでしょう?一ヶ月貯めたら三千円じゃない?"

重要なのはより多くお金を稼ぐことではなく、どれだけ無駄な出費を減らすかだ。

そういうありきたりな事実に遅ればせながら気づいた今日この頃。

 

#三千円の使い方 #原田ひ香

 



読書日記『終焉ノ花嫁3』綾里けいし

タイトル 終焉の花嫁 3
著者   綾里けいし
イラスト 村カルキ

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〈あらすじ〉
人類の敵【キヘイ】が世界を蹂躙して幾年。
魔導学園・黄昏院を設立し、人々はその脅威に抗戦を続けていた。
【逢魔ヶ時】打破を祝う祭りでの【最悪の結末】を回避したコウは【研究科】時代の同級生のアサギリ、イスミと交流をするようになる。
平穏な時を過ごすある日、コウはアサギリから告白される。
翌日、コウはイスミから驚愕の事実を伝えられる――アサギリが遺跡で行方不明になったと。
彼女を探し遺跡を捜索するコウの前に新たな【キヘイ】の王が現れ、コウは【キヘイ】の謎を知ることになる――。
最愛の【花嫁】達のために、コウが選択した道とは――?

〈ひとこと〉
主人公であるカグロ・コウの選択に違和感を覚える。
もし僕が"正義の味方"だったら、彼のような選択はしないと思う。
2巻の敵は人々を守るヒーローになりたかった年はもいかない少女だった。
彼女は自分の意に反し悪の組織に利用され多くの命を奪ったがゆえに、主人公に切り伏せられた。
3巻の敵は自身の生徒を守らんとした女教師だった。
一部の人間を切り捨て大多数の命を救おうとした彼女は、やはり主人公に刺し殺された。
1巻から3巻を読んで、主人公に問いたいことがある。
それは彼女ら的キャラクターをほんとうに"殺す"必要があったのかという問いだ。
彼にも葛藤があっただろうが、敵キャラクターとの"共存"という道はなかったのだろうか。
この物語は"キヘイ"という人類の敵に立ち向かうSFファンタジーでありながら、同時に"正義"とはなにかを強く問いかける物語だった。

読書日記『ナナイロノコイ』アンソロジー

タイトル   ナナイロノコイ

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〈作家紹介〉
#江國香織
#角田光代
#井上荒野
#谷村志穂
#藤野千夜
#ミーヨン
#唯川恵

〈内容〉
愛をおしえてください。
恋の予感、別れの兆し、はじめての朝、最後の夜…。
恋愛にセオリーはなく、お手本もない。
だから恋に落ちるたびにとまどい悩み、ときに大きな痛手を負うけれど、またいつか私たちは新しい恋に向かっていく―。
この魅力的で不思議な魔法を、いまをときめく七人の作家がドラマティックに贅沢に描いた大好評恋愛小説アンソロジー

〈ひとこと〉
アンソロジーは好きだ。
いろんな作家さんの短編が載っているアンソロジーを読んでいると、今まで手をつけてこなかった作家さんと出会えるからだ。
最近本を読んでいて思うことがある。
それは世の中に出回る本の量が多すぎるということ。
膨大な量の本が身の回りに溢れていて、自分一人の人生では到底読みきれないではないかという漠然とした不安を抱く。
多くの作家さん作品が収録されているアンソロジーを読んで、いっそうそう思う。
途方もない。
果てしない。
けっして届かない夜の空に散らばる星々に手を伸ばしているような気分

読書日記『終焉ノ花嫁2』綾里けいし

タイトル 終焉ノ花嫁 2
著者   綾里けいし
イラスト 村カルキ

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〈あらすじ〉
人類の敵【キヘイ】が世界を蹂躙して幾年。
魔導学園・黄昏院を設立し、人々はその脅威に抗戦を続けていた。
キヘイと婚姻し、【百鬼夜行】に転科・入隊したカグロコウは、一万五千回の試算の上にキヘイの大進行【逢魔ヶ時】を越える。
束の間の日常を謳歌するコウたちの前に――予想だにせぬ転科生が現れる。
時を同じくして【逢魔ヶ時】打破記念の祝祭が行われ、コウたちも出し物をすることに。
だが、祭りの最中、唐突にコウが殺される。
何度も何度も。
何度繰り返しても――。
さらには【戦闘科】最強の学徒で構成された【傀儡衆】の少女に襲撃されてしまい……?

〈ひとこと〉
綾里けいしの『終焉の花嫁』を初めて読んだ時は衝撃をうけた。
僕はいつも本を読む時は次の展開を予想しながら読み進めるのだが、この物語はまったくもってストーリーの展開が読めなかったからだ。
こういう本に出会うとやっぱり嬉しく思うが、同時に心がふっと冷えるような言いようのない恐怖の念を抱く。
この本の作者は僕の性質を全て知っていて、「こう書けばコイツはこう喜ぶな」とか「こう書けばコイツはこう驚くな」とか全て把握した上でこの著者は物語を書いているのではないかと本気で思う。
僕が本を読んでいるはずなのに、いつしか本の側が僕の内面を覗き見ているような錯覚。
読んでいて肌寒さを覚える。
"深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ"という有名な言葉が脳裏をよぎった今日この頃。

読書日記『最高のオバハン』林真理子

タイトル 最高のオバハン
著者   林真理子

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〈あらすじ〉
中島ハルコ、52歳。本音で生きる会社経営者。金持ちなのにドケチで、口の悪さは天下一品。
嫌われても仕方がないほど自分勝手な性格なのに、なぜか悩み事を抱えた人間が寄ってくる。
高学歴ゆえに結婚できない、不倫相手がお金を返してくれないといった相談を、歯に衣着せぬ物言いで鮮やかに解決していく痛快エンタテインメント!

〈ひとこと〉
祖母がニタニタしながらこの本を読んでいた。
よほど面白かったのか虫眼鏡を持ち出してじっくり読む始末(老眼だからしょうがないか?)。
ここまで祖母を夢中にさせるほどの本、自称本の虫として気にならないわけがない。

読書日記『終焉の花嫁』綾里けいし

タイトル 終焉の花嫁
著者   綾里けいし
イラスト 村カルキ

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〈あらすじ〉
「拘束を、隷属を、信頼を、貴方に――約束しよう、貴方のために全てを殺すと」 突如出現した脅威【キヘイ】が世界を蹂躙して幾百年。人類は対抗手段として魔導学園・黄昏院を設立し、日夜戦闘が繰り返されていた。 運命の日、魔導研究科所属のカグロ・コウは【キヘイ】の死骸回収のため、とある遺跡に出向き、不運にもその命を散らした……はずだった。【キヘイ】の少女に救われるまでは。 「初めまして、愛しき人よ――我が名は【白姫】。これより先、私は永遠に貴方と共にあります」 物語の中の騎士のように、御伽噺の中の姫のように、目覚めた少女は告げる。それが終わらない地獄の始まりになろうとも知らず。

 

〈ひとこと〉
恋の物語だった。
あかぐろいバラのような、まがまがしくとも甘美な余韻をたたえる恋の物語。
花瓶の花が少しずつ減っていって、水を入れ替え空気を入れ替えやっと形を保っているような、萎れてしまってもなんとか咲いているような、そんな健気な恋にぐっと心掴まれる。
これはファンタジーであり、人と人外の戦いの記録であり、肺に水が溜まって息苦しさをともなうような恋の物語でもあった。

読書日記『台湾女子の私的行きつけリスト』アイリーン・クゥオ

タイトル 台湾女子の私的行きつけリスト
著者   アイリーンクゥオ

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〈内容〉
台南生まれ、台北育ち。
時間があればおもしろそうな店を探して歩くのが大好きなアイリーン・クゥオ。
そんなアイリーンさんが
普段本気で通っている“行きつけリスト”がこちら。
おいしくて安い店。
雰囲気に酔いしれる贅沢なレストラン。
秘密の茶館にステキなカフェ。
さまざまなジャンルの行きつけがズラリ。
観光客目線ではなく、現地の住むひとの目線から書かれた台湾行きつけガイドブック。

〈ひとこと〉
僕は"冒険"という言葉が好きだ。
"旅"というとなんだか一世一代の大決断のような大仰な感じがするし、"旅行"というとなんだか遊びの延長線を思わせる軽薄な感じがするからだ。
一方、"冒険"のほうはどうだろうか。
通ったことのない細路地に足を踏み込むのも"冒険"だし、気になってはいたがずっと訪れる機会のなかったステキなカフェの扉をドキドキしながら開くのも立派な"冒険"だと思う。
"冒険"という言葉には一世一代の大仰さ必要なければ、遊び感覚の軽薄さもない。
あるのは、好奇心という感情の発露ただそれだけ。
最近、台湾という国が気になる。
そして台湾でちょっとした冒険をしたい。
台湾の日常の風景を切り取るような、現地の人々の息づかいを感じるような、そんなカフェ、レストラン、雑貨屋を巡ることを密かに夢見る。
そういう冒険、皆さんいかが?

読書日記『竜の国の魔導書』森りん

タイトル 竜の国の魔導書
著者   森りん

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〈あらすじ〉
婚約者に裏切られるというトラウマ的事情により、人目を忍んで王立図書館でひっそりと働く名門の娘エリカ。


ある日、図書館で本を見つけられず困っている分厚い眼鏡をかけた男子の手助けをしている最中、いわくつきの古い本に触れたところ、気を失ってしまう。


目覚めると、エリカは眼鏡男子の家にいて……!?

とんでもなく垢抜けない眼鏡男子は、伝説の美しすぎる魔法使いミルチャ・アントネスクだった。
そして、ミルチャの探す魔導書「オルネア手稿」がらみの「竜化の呪い」にかかってしまったエリカの頭には小さな角が生えてきており……。


ショックを受けるエリカだったが、呪いを解くためにミルチャと共にオルネア手稿探しと、犯人捜しをすることになって…!?

 

〈ひとこと〉
森りんさんの本は『水の剣と砂漠の海ーアルテニア戦記』を読んでから、密かに探していた。
お気に入りの作家さんに出会ったら、その人の作品を網羅したいもの。
ウキウキした気分で、この本を手に取った。
前作と同じく魔法が息づくファンタジーな世界で、少女が過酷な運命に立ち向かう物語だった。
こういう手合いの物語に僕は弱い。
過酷な運命にめげず、真っ直ぐと進むべき道を見定め、毅然と立ち向かう少女たちのなんと尊いことか。
よりいっそうこの作家さんことが好きになってしまった。

読書日記『白銀のソードブレイカー』松山剛

タイトル 白銀のソードブレイカ
著者   松山剛
イラスト ファルまろ

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〈あらすじ〉

世界の調和を保ち、力と平和の象徴とされる7本の聖剣とその使い手『剣聖』。
家族を皆殺しにされた過去を持つ傭兵レベンスは、仇を探すあてなき旅の途中、その『剣聖』の一人の警護を請け負った。
しかしある夜、彼らの前に小柄な少女が現れる。
白銀の髪をなびかせ、その背丈にそぐわぬ大剣を操る彼女はレベンスをあっさりと退け、それ以上の腕を誇る剣聖をも討ち取り『聖剣』を強奪した。
剣を交えた際、一瞬かいま見えた“映像”に家族の仇の姿を見たレベンスは、その白銀の髪を持つ少女を追う。
一夜にして“世界の敵”となった少女と、復讐に生きる傭兵が織り成す、剣の絆の物語。

 

〈ひとこと〉
ねぇ皆さん。
一度読んで面白と感じた本があったら、同じ著者の違う物語も気になりますよね。
こんなに面白い物語を書いたのだから、他の物語も面白いに決まってる!
この物語も例に漏れず、お気に入りの作家さんの名前を数ある物語のなかから見つけた。
心が震えるほど夢中になった本『雨の日のアイリス』と同じ作者の名前を、ブックオフライトノベル コーナーで。
藁束の中から針を見つけ出したような運命を感じた。
手に取って読んでみて、あぁやっぱこの人の物語が好きなんだなぁと思った今日この頃。

読書日記『オンディーヌ』ジロドゥ

タイトル オンディーヌ

著者   ジロドゥ

訳    二木麻里

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〈あらすじ〉

水の精霊オンディーヌは人間の世界に憧れていた。
ある日、水の精オンディーヌは湖の湖畔を訪れた王国騎士ハンスにハンスに一目惚れしてしまう。
しかし、ハンスには結婚を約束した王国に姫君ベルタの存在があった。
オンディーヌから求婚を迫られたハンスは、ベルタのことを忘れ、オンディーヌと共に過ごすことを選ぶ。
オンディーヌとハンスの恋は不滅のものと思われた。
ハンスを取り戻そうと躍起になるベルタ、宮廷に馴染めず孤立するオンディーヌ、二人の女性に言い寄られ板挟みになるハンス。
人々の思惑や欺瞞、嫉妬、愛が複雑に絡み合い、オンディーヌとハンスの前に立ち塞がる。
オンディーヌとハンスの恋の結末はいかに?

 

〈感想〉注:少しネタバレあり!

『オンディーヌ』のことをどこで知っただろうか。

たしか、アンデルセンの『人魚姫』を読んだときだったか。

訳者解説の欄にオンディーヌの名があったのだ。

“水の精霊(人魚)の登場する物語としてアンデルセンの『人魚姫』、ジロドゥの『オンディーヌ』が有名なのだがー”

へぇ~、そんな物語があるんだぁ。

知らなかった。

“『人魚姫』ではヒロインの人魚が最後に海の泡となって消えてしまい、『オンディーヌ』ではヒロイが記憶を消されてしまい愛する彼を永遠に忘れてしまう”

え⁉︎記憶消されるの?

なにそれ、大好物。

一気に興味がわいた。

甘くて酸っぱい青春のラブコメなんかも大好きだが、川の流れに流される木の葉のように、運命に翻弄されるけっして叶わない恋をえがく物語も好きなのだ。

シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』とか。

『オンディーヌ』を読んで一番ぐっときた場面は、やはりオンディーヌの記憶が消えてしまう瞬間だろう。

正直、ちょっと泣いた。

「ねぇお願い、ハンス。あなたの声を聞かせて。記憶が消える前に、あなたを魂に刻み込むから!」

読み終わった後も、彼女の声が消えない。

彼に対する愛情も、共に過ごした日々の想いでも、すべて忘れてしまう彼女の悲愴と焦燥の入り混じった激しい言葉が、乾いた大地に清水がしみこむがごとく私の胸にじゅわっと広がっていった。

この物語を永らく忘れることはないだろう。

少なくとも自分の吐いた息が外の空気にたなびいて消えていくような、そんな軽い物語ではなかった。

〈読書日記〉『星天の兄弟』菅野雪虫

タイトル 星天の兄弟

著者   菅野雪虫

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〈あらすじ〉
ある王国の小さな村に、高潔な学者が住んでいた。
学者には母親のちがう息子が二人おり、兄は物静かで賢く、弟は天真爛漫で美しいことで評判だった。
父が反乱に加担した疑いで捕らえられたことで、二人の運命は一変する。
罪人の子という重い軛を負うことになってしまった兄弟。
互いを思いやりながらも別々の道をゆく二人の運命は?

〈感想〉

艱難辛苦なんじを玉にす(かんなんしんくなんじをたまにす)ということわざを聞いたことがあります。

あらゆる困難に立ち向かい乗り越えることで、人は立派に成長するんだよといったニュアンスの言葉だった気がします。

じつはこの物語を読むのは二回目です。

一度目はコロナ禍に突入し、少しひまを持て余していた2021年の冬。

大学の授業がコロナで軒並みオンライン授業に置き換わって、親のすねをかじってくすぶるような学生生活をしていたころ。

目標もないし夢もない、自分の就きたい職業もわからない、あまつさえやる気もないぐだぐだライフを満喫していた当時の私は、この本を読んで衝撃をうけました。

この身に降り注ぐ困難をものともせず、「今」という時を誠心誠意全力で生きる主人公たちの姿が、私の目からはトンネルの先からもれる光のように輝いて見えたから。

このようになりたい!

いや、このように生きたい!

せつに願った。

ひとつ、なんでもいい、どんなにちっぽけなことでもいい、なにか始めてみよう。

そういう経緯があってこの読書ブログを開設しました。

まわりからは「え、あいつがブログ?似合わな、ぷぷ」みたいな目で見られたり、最初の意気込みはどこえやら更新頻度がだんだん減っていくなど、自分の胃に穴が開きそうな困難が次から次へと押し寄せてきます。

心が折れそうです。

その程度の困難でなにをめそめそしているんだ、私の方が今大変な目にあっているんだぞとか言わないでくださいね。

泣きます。

心が乾いた音をたててひしゃげます。

でも、すぐにでも逃げ出したくなるのをぐっと押さえて、こういう小さな困難を少しずつ乗り越えていく。

そうすることでちょっとずつ生きることに自信がついていくのかなぁ、なんて思ってます。

自分にはたいそうな将来の夢もないし目標もない。

そんな自分でも、人に誇れるくらい全力で生きることができるでしょうか?