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『貸し本喫茶イストワール』 川添枯美-読書日記

タイトル 『貸し本喫茶イストワール』
著者   川添枯美
イラスト 越島はぐ

 

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〈あらすじ〉
 若くしてデビューしたが作品が書けなくなった小説家の晃司は、喫茶店の住み込みバイトをすることに。  イストワールは、有名無名の作家たちが書き下ろした“同人誌”を貸し出す風変わりな喫茶店
 そこで晃司は幼馴染の文弥子に再会し…。

ーアマゾンより引用

〈ひとこと〉
 面白い本だった。
 主人公は作家の男の子。
 彼はあるトラウマがきっかけで、本が書けなくなってしまう。
 スランプに陥った彼は、心機一転、貸本屋喫茶でアルバイトをすることになる。
 そこで彼が出会ったのが、司書の女の子。
 この物語のどこが素晴らしいかと言うと、登場人物全員が本を愛していることと、物語を書く作家の熱意が伝わってくることだと思う。
 主人公の男の子は、自分の書きたい物語と読者が求める物語に隔たりがあることに悩んでいた。
 彼は本が好きだ。
 そして、物語を書くのも好きだ。
 でも、売れるのは読者が求める要素をただ羅列しただけの、自分らしさを書いた物語。
 そんなことは度外視で、自分の心から書きたい作品は全く売れなかった。
 主人公は物語が描けなくなるほどのトラウマを抱えてもなを、本を愛することをやめられなかった。
 アルバイト先の貸本屋喫茶で大量の本に埋もれるうち、お客さんにおすすめの本を紹介したり、お客さんが楽しんで本を読んでいる姿を見たり、お客さんから本の感想を聞いたりしているうちに、物語が描けなくて萎れていた主人公だったが、しだいに生き生きと本と向き合うようになっていく。
 こんなに打ちのめされてなお、本が好きで小説を書こうと躍起になる主人公を見て、好きなことは何があっても揺るぎないんだなあと思ってしまう。
 そして、今まで多くの人が喜ぶ作品を描いてきた主人公だったが、目の前にいるたった一人のための物語を描こうと心に決める。
 主人公が四苦八苦、粉骨砕身の努力で物語を書く姿を見て、僕も物語が書いてみたくなった。
 まあ、実はもともと趣味で短編小説を書いては、ウェブの小説投稿サイトに自分の作品を挙げていたのだが、ここ最近、めっきり作品を描いていない。
 今まで書き上げた作品は、短編が5篇。
 素人に毛が生えた程度の実力である。
 今年の一月に書き始めて、そのままほったらかしになっていた書きかけの物語が、この『貸し本喫茶イストワール』をきっかけに、考えられないスピードで完成へと邁進していった。
 思えば僕は主人公のように、100人いたら100人が喜ぶ物語を描いたことがない。
 僕の作品は、100人読者がいるとしたら、共感してくれるのは100のうちせいぜい1かゼロっていうような、そんな自由奔放な作品ばっかだと思う。
 僕のポリシーとして「自分が読んで面白いと思った物語をかく」という、漠然とした決まりみたいなものがある。
 なぜなら僕の書く物語の一番の読者は、作者である自分だからだ。
 自分が心から愛せる物語を描かないと、一番の読者である自分もなかなか納得してくれない。
 僕の物語は、僕の、僕による、僕のための物語であることが第一条件なのだ。
 物語のタイトルは『小説家とペン』。
 命の宿ったペンが持ち主の小説家に恋をするという物語だ。
 小説投稿サイト・カクヨムで「ことはたびひと」とペンネームを検索すると、僕のアカウントがヒットすると思う。
(我ながらかっこいいペンネームを考えてしまったものだ。名前負けしている感がいなめない)
 興味のある方はぜひ、僕の作品を読んでみてほしい。

ペンネーム: ことはたびひと
プラットフォーム: 小説投稿サイト・カクヨム
〈今までの作品〉
『僕が小鳥になったわけ』-完結済み
『図書館の恋は連綿と』-完結済み
ピアノマンと歌姫』-完結済み
『世界の終わりの実験』-完結済み
『文学少年の初恋』-完結済み
『小説家とペン』-連載中&未完成

 

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『よだかの星』 宮沢賢治 ・三永ワヲ-読書日記

タイトル『よだかの星
著者   宮沢賢治
イラスト 三永ワヲ

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〈内容〉
有名古典作品・宮沢賢治よだかの星』と人気イラストレーター・三永ワヲがコラボした新しいタイプの物語

〈ひとこと〉
 宮沢賢治の『よだかの鳥』は英語で書かれたバージョンを、半年ほど前に読んだことがある。
 その頃は英語の物語に興味を持ち始めたばかり。
 英語力は初心者に毛が生えた程度で、英語版の『よだかの鳥』を読んでも、ストーリーの最後が上手く理解できなかった。
 夜空に向かって飛んでいったよだかは、最後どうなったのだろうか?
 無事に夜空に到着できたのだろうか?
 それとも力尽きて墜落してしまったのだろうか?
 もしかしてどっちでもない?
 その時は、内容が理解できないまま、もやもやとした気分で本のページを閉じた。
 少し未練が残る。
 それから月日は流れ、半年が経過。
 インスタの写真をつらつらと眺めていると、綺麗なイラストの『よだかの鳥』を、お気に入りのフォロワーさんの投稿で発見。
 この物語のラストがどのようにして終わるのか気になる僕は、急遽この本を図書館で予約した。
 知的欲求に促されるままである。
 読んでみると、イラストがエモくて、宮沢賢治のきらりと光る端正な文体とそのイラストが、すごくマッチしている。
 この本を読んでいて、次のページは?次のページは?と、ページをめくるその手が止まらない。
 そうこうしているうちに、あっという間に読み終わってしまった。
 
〈雑筆〉
 最近の出来事。
 最近インスタで、お気に入りのアカウントさんが辻村深月の『かがみの孤城』の写真を投稿しているのを見かけた。
 最近映画化され、近々読んでみたいなあと、ひそかに気になっている。
 過去に自分が読んだ本や気になる本を、フォロワーさんが投稿していたら、できるだけ僕はその投稿にコメントをするようにしている。
 それがきっかけで、読書好きなフォロワーさんと仲良くなれるのが楽しいからだ。
 でも、『かがみの孤城』の投稿を見た時、僕は研究室で卒論の執筆作業中だった。
 ああ、今忙しいから、後でコメントしようと、ポケットにスマホをしまったきり、その投稿のことは忘れてしまった。
 その翌々日。
 僕が荻原規子さんの『エチュード春一番』を投稿した時、そのアカウントさんからコメントが届いた。
 そうだった!
 『かがみの孤城』の投稿にコメントするの忘れてた。
 投稿日から2、3日経過していたら、流石にコメントしずらい。
 コメントは、投稿を見た瞬間にやろうと、決心した今日この頃。

『エチュード春一番 - 子犬のプレリュード』荻原規子-読書日記

タイトル『エチュード春一番 - 子犬のプレリュード』

著者 荻原規子


「わしは八百万の神だ」

家に迷い込んできた小犬がしゃべった!

この春、一人と一匹(一柱?)の新生活が誰ともなしにスタート!

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〈あらすじ〉

 大学受験合格を機に自宅で一人暮らしをすることになった美綾は、とある春の日、家に一匹の小型犬(パピヨン)を拾う。

 毛並みがよく人なつっこい小犬に、近所で飼い主を探してみるが見つからない。

 仕方なく自宅で世話をしていると、突然「わしは八百万の神だ」とのたまう子犬。

 犬がしゃべった?

 それとも幻聴だろうか?

   信じられない美綾に、小犬は自分は日本古来の神で人間になるために転生してきたと語る。

 大学では小学校で一緒だった有吉智佳や澤谷光秋と再会するが、バイク事故で死んだかつての同級生の思い出話から幽霊絡みの不穏な事件が起きて……。

 一人と一匹(一柱?)の新生活をコミカルに描く一冊。

ーアマゾンより引用&加筆


〈ひとこと〉

「あ、気になる本見つけた!」と思ってその本を調べてみたら、その本が上中下の下巻で読むのにちょっと躊躇してしまった、という経験はあるだろうか。

 ずいぶん前に、この『エチュード春一番』をTwitterで見かけた。

 この物語のあらすじを調べてみると、ヒロインの女子大生が自分のことを神様だと主張する喋る子犬を拾い、神様の力によって鎌倉時代平家物語の世界へ迷い込んでしまうというもの。

 僕はこの手のストーリーに弱い。

 ヒロインが見知らぬ世界に迷い込み、身に降りかかる困難や不条理に立ち向かってゆくというような、成長物語が特に好きな物語のシチュエーションだからだ。

 しかしずっと気になっていた『エチュード春一番』だが、僕はここ半年くらいこの物語を読むことを戸惑っていた。

 なぜならTwitterで見かけた、ヒロインが平安時代にタイムスリップする『エチュード春一番』は、1〜3巻あるうちの3巻だったからだ。

 しかも平安時代にタイムスリップするのは3冊あるシリーズのうち最終巻である3巻だけ。

 僕の心境としてはこの物語の3巻だけがめっちゃ読みたい。

 でも3巻を読むにはこのシリーズの1巻と2巻を読まなきゃいけない。

 うず高く積まれた積読本が日々その数を増やしている状況の僕としては、あまり興味のない1巻2巻をちゃんと読むことは、はっきり言って少々めんどくさい。

 半年間迷った末、結局『エチュード春一番』を1巻から律儀に読むことにした。

(この期間にどれだけの気になる本が、溜まりに溜まった積読本の仲間入りをしたことか!)

 あなたならこういう場合、どうしますか?

 僕の場合、「やっぱり読みたい!」という簡潔明瞭な自分の読書欲に屈しました。

 

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『日本SFの臨界点 - 恋愛篇』 伴名練-読書日記

タイトル 『日本SFの臨界点 - 恋愛篇』

編者    伴名練

 

SF小説愛好家・伴名練が厳選した傑作SFアンソロジー

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〈内容〉

『なめらかな世界と、その敵』の著者・伴名練が、全力のSF愛を捧げて編んだ傑作アンソロジー

恋人の手紙を通して異星人の思考体系に迫った中井紀夫の表題作をはじめ、現在手に入りにくい、短篇集未収録作を中心とした恋愛・家族愛テーマの9本を厳選。

それぞれの作品への解説と、これからSFを読みたい読者への完全入門ガイドを併録。

ーアマゾンより引用


〈収録〉

中井紀夫  『死んだ恋人からの手紙』

藤田雅矢  『奇跡の石』

和田毅   『生まれくる者、死にゆく者』

大樹連司  『劇画・セカイ系

高野史緒  『G線上のアリア

扇智史   『アトランタの奏でる音楽』

小田雅久仁 『人生、信号待ち』

円城塔   『ムーンシャイン』

新城カズマ 『月を買った御婦人』

 


〈ひとこと〉

 前回読んだ『日本SFの臨界点-怪奇篇』を読んで、SF小説に興味を抱いていたという現状に、さらに拍車がかかった。

 もっとSF小説に出会いたい。

 そう思ったので僕は同じ『日本SFの臨界点シリーズ』の恋愛編を手に取った。

 『日本SFの臨界点-恋愛篇』を読んで、特に印象に残っているのが、小田雅久仁『人生、信号待ち』と円城塔『ムーンシャイン』。

 『人生、信号待ち』のあらすじはこう。とある男性が信号待ちをしていると、きれいな女性と出会う。信号待ちの傍ら雑談して意気投合する二人。するとなぜだか信号待ちしている道路から二人は抜け出せなくなってしまい、一生信号待ちをしながら二人で家庭を築いていくというお話。…。「いや、信号待ちから抜け出せなくなって、信号待ちをしながら一生を過ごすって、どういうこと?」って思った方。大丈夫。あなたの思考と感性は正常です。問題ありません。SFというものは時として科学なんて鼻であしらってしまうほど、奇妙で奇天烈でミステリアスな事象が頻発するもの。そういうジャンルなのです。なので、あらすじを聞いて「ん?」と戸惑うことこそが正しい反応なのです。それにしても、信号待ちで男女の恋物語っていいですよね。ちょっと萌えます。

 そしてもう一つの作品は『ムーンシャイン』。これは内容が理解できなさすぎて逆に印象に残っている。たぶん50%もこの物語のストーリーを理解できていないじゃないかな。なのでこの物語の内容を紹介することに全く自信がないけれど、内容を紹介すると、この物語では数学の世界と現代社会という二つの世界が存在し、数学の世界を訪れた主人公がとある少女の存在がきっかけで数学の世界が崩壊してしまうというもの。たぶんそんな感じのストーリー。知らんけど(無責任)。

 このSFアンソロジーを読んで、数ある作品の中で、やっぱり自分の好きなシチュエーションのものが印象に残るんだなあと思った。

 信号待ちしている間に恋が芽生えたり、雨に打たれるヒロインに傘を貸してあげることで始まる恋物語なんてものが、僕の好きなタイプ。

 そして自分の感性にマッチする作品も印象に残るけど、全然内容が頭に入ってこない作品というのも、それと同じくらいの印象に残るんだなあということも改めて知った。

 たぶん内容が理解できない悔しさや、自分の読書力の非力さなんてものを痛感するからだろう。

 自分の好きなジャンルに出会うのも嬉しいけれど、読んでも読んでも内容が理解できない本、自分の読書レベルはまだ向上させる余地があるという事実を気づかせてくれる本に出会えると、悔しいという思いも確かにあるけれど、やっぱり嬉しい。

 

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『恋は雨上がりのように』眉月じゅん-読書日記

タイトル『恋は雨上がりのように』 1巻〜3巻
作者   眉月じゅん

 

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〈あらすじ〉
橘あきら17歳。高校2年生。片想い。相手は冴えないおじさん 。


感情表現が少ないクールな彼女が、胸に秘めし恋。
その相手はバイト先のファミレス店長。



ちょっと寝ぐせがついてて、たまにチャックが開いてて、後頭部には10円ハゲのある、そんな冴えないおじさん

。

青春の交差点で立ち止まったままの彼女と
人生の折り返し地点にさしかかった彼が織りなす
小さな恋のものがたり

ーアマゾンより引用

 

〈ひとこと〉
 インターネットをうろうろしていたら、閲覧履歴を解析されて「あなたにおすすめの作品」の欄に気になる作品を紹介されたという経験は誰にでもあると思う。
 この『恋は雨上がりのように』も、僕がアマゾンプライムでアニメを見ていたら、「あなたにおすすめの作品」でアマゾンから直々に紹介されたものだ。
 話の内容としては「17歳の女子高生がバイト先のうだつの上がらない45歳の店長(オジさん)に恋をする」というもの。
 どうもヒロインのその女子高生は、足の怪我で打ち込んでいた陸上部を辞めることになり、燃え尽き途方に暮れていたことをきっかけに、バイト先の店長に恋をするようだ。
 僕はその、なんていうか、「疲れ果て悲嘆にくれる女性のもとに運命の男性が現れ手を差し伸べる」系の恋愛小説に弱い。
 例を挙げるなら、有川浩さんの『植物図鑑』、上條一音さんの『n回目の恋の結び方』や神戸遥真さんの『声が出なくなったので、会社を辞めて二人暮らし始めました。』がお気に入り。
 どの作品も「社会にのまれ疲れ果てた働く女性の前に癒し系の優男が現れて恋を育んでいく」というもの。
 でも今回の『恋は雨上がりのように』は上記の作品たちとは少し毛色が異なる。
 その違いとは、今まで読んできた作品のヒロインは社会で働く大人の女性たちがメインだったのに対し、『恋は雨上がりのように』のヒロインは高校生だという点だ。
 この物語は全部で10冊。
 果たしてヒロインの一途な恋は成就するのだろうか。
 1〜3巻を読了してこのマンガの先が気になる今日この頃。

 

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『1泊4980円のスーパーホテルがなぜ「顧客満足度日本一」になれたのか?』山本梁介-読書日記

タイトル
『1泊4980円のスーパーホテルがなぜ「顧客満足度日本一」になれたのか?』


著者
山本梁介

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〈内容〉
2年連続「顧客満足度」ナンバーワン!
スーパーホテルは「安全、清潔、ぐっすり眠れる」を低価格で実現しました。
そして、スタッフはお客さまの感動を自分の感動にできる「自律型感動人間」でなければなりません。
そんな「感動のホスピタリティ」の秘密をご紹介します。
1泊5万円のホテルよりお客さまが満足する秘密とは?
ーアマゾンより引用

 

〈ひとこと〉
スーパーホテル。初めて聞くなあ」
 この本『1泊4980円のスーパーホテルがなぜ「顧客満足度」日本一になれたのか?』を手に取ったとき、ついそんなことを思ってしまった。
 ビジネスホテルといえばアパホテルしか知らない。
 まして息をひそめるようにしてアパホテルの陰に隠れていたホテルが日本一の冠をさずかっているとは。
 まったく知らなかった。
 でもこの本を読んでみると、このホテルがなぜ日本一の称号を冠することになったのか、すんなりと受け入れることができた。
 このホテルのオーナー(CEO)がお客様のことを第一に考え、苦労をいとわずお客様に誠心誠意向き合う接客をしていた。
 ホテルの天井には匂いを吸着する珪藻土を使用し、防音設備は徹底して施工、清掃は髪の毛一本落ちていないように徹底して行われた。
 そしてこのホテルのオーナーは従業員に洗練された接客スキルを求めた。
 オーナーはマニュアルに書いていない接客をホテルで働く従業員がなすことを是としたのである。
 例えば、雨の日にホテルを訪れたお客様にはタオルを手渡したり「あいにくの雨天にスーパーホテルにお越しくださってありがとうございます」とひとこと添えたり。
 お出かけになるお客様には「◯◯様、気をつけていってらっしゃいませ」とお客様の名前をはっきりと口にして挨拶をしたり。
(本当にその接客をやっているのか?お客さんの名前を覚えるなんて不可能じゃね?でも本に書いてあったから、事実なんだろうけど、疑問。)
 この本に書いてあったこの言葉が印象的だ。
"低価格の実現には、さまざまな無駄を省くためのマニュアルが必要です。マニュアルを徹底すれば不備が減ります。そして、スタッフによるサービスのばらつきもなくなります。しかし、私はそのレベルでは満足しません。不満の解消だけならマニュアルで実験できますが、そこには感動はありません。私が目指したものは、満足以上のものです"
 この文を読んでわかるように、この人はお客さんに満足して欲しいのではなくて、ホテルを訪れたお客さんにスーパーホテルのホスピタリティに感動して欲しいのだ。
 お客さんのことを第一に考え、自分にできることはなんなのかを常に考えている。
 僕は3月に大学を卒業して、4月から新卒で会社に入社する。
 働いて稼いだお金でスーパーホテルに泊まってみようかな。
 家の近くのスーパーホテルはどこかなと、東京近郊のスーパーホテルを調べた今日この頃。

 

 

『台所のドラゴン』 みよしふるまち-読書日記

タイトル『台所のドラゴン』

漫画   みよしふるまち

原作   縞田理理


女子大学生と子ドラゴンによるほのぼのとした日常を描いたゆるほわ漫画。

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〈あらすじ〉

1980年代、東欧。日本人留学生・ののが買ってきた卵から孵化したのは、トカゲのような生き物。

成長するにつれて、伝説のドラゴンに近づいていき…。

一人と一匹が暮らす、欧州舞台日常ファンタジー

ーアマゾンより引用


〈ひとこと〉

このマンガを知ったきっかけは、Twitterで気になる本を探していたらふと目についたのがきっかけ。

陽の光が差し込む牧歌的なリビングに黒髪の女性と緑色のドラゴン。

表紙を一目見ただけで僕はこのマンガに読書意欲を掻き立てられた。

1巻から2巻のこのマンガは、女の子と子ドラゴンののほほんとした日常に、ふふっと思いながら読んでいた。

けれど3巻4巻になると、ドラゴンも成長して家に入りきれなくなってしまう。

そうなると女の子は山の奥でドラゴンを育てることになるのだが、ドラゴンの成長と人間社会の摩擦が少しずつ目立つようになっていく。

例えば、ドラゴンと出会った人間がドラゴンとトラブルにならないよう、人里離れた山奥で女の子はドラゴンをひっそり育てたり、森林警備隊にドラゴンを捕獲されそうになった時は、女の子は慌ててドラゴンを洞窟の中に隠したりしていて、人の目を気にしながらドラゴンを育てる女の子の姿が目立った。

なんか雰囲気は上橋菜穂子さんの『獣の奏者』と似ているように僕は感じた。

獣の奏者』では、王獣(巨大な翼に爪の生えた二本の大きな脚を持つ聖なる獣。決して人に馴れず、また馴らしてはいけないといわれている)と呼ばれる圧倒的な力をもつ巨獣を心を通わせることのできる唯一の人間エリンの葛藤が繊細な文章で語られる。

その葛藤とは、エリンは彼ら王獣を野生のままのびのびと育てたかったのに、戦いの兵器となるように王獣を育成しなければいけないという葛藤だ。

『台所のドラゴン』でも同じような葛藤が描かれる。

女の子は自由に空をかけ陽の光を浴びのびのびと育てたかったに違いないのに、人の目を気にしてこっそりと育てるしかないやるせなさ。

もしもドラゴンが人々の目に触れた時、人はドラゴンを恐れドラゴンを排除しようとするかもしれない。

そしてドラゴンがその爪で人を傷つけてしまったらと、女の子はそれを恐れている。

そういう経験、あなたにもあるのではないだろうか。

例えば猫を飼っていて、家の外をうろうろされたら困るから、ペットをずっと家の中に閉じ込めて家の外に出さないとか。

そして家にずっと閉じ込められ外の世界を知らない可哀想なペットは、自分が可哀想なんて感じていない。

どんな悲惨な状況であっても、ペットはご主人に尊敬の眼差しを向け、いかにも自分は幸せですと言いたげな表情でご主人に向かって尻尾をふる。

心が痛む僕ら人間を差し置いて。

そういう人間のエゴで心苦しくなるのが嫌だから、僕はペットを飼ったことがない。

『台所のドラゴン』は人とドラゴンのほのぼのとした日常を描くハートフルなマンガであると同時に、生き物を飼う責任だとか、ペットにとって真の幸せとはなんなのかとか、生き物との付き合い方について深く考えさせられるマンガでした。

 

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『放課後図書室』 麻沢奏-読書日記

タイトル『放課後図書室』
著者   麻沢奏
イラスト 長乃

図書室で花開く少女の健気で小さな恋の物語。

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〈あらすじ〉
君への想いを素直に伝えられたら、どんなに救われるだろう――。
真面目でおとなしい果歩は、高2になると、無表情で掴みどころのない早瀬と図書委員になる。実はふたりは同じ中学で“付き合って”いた関係。
しかし、それは噂だけで、本当は言葉すら交わしたことのない間柄だったが、果歩は密かに早瀬に想いを寄せていて…。
ふたりきりの放課後の図書室、そこは静けさの中、切ない恋心が溢れだす場所。
恋することの喜びと苦しさに、感涙必至の物語。
ーアマゾンより引用

 

〈ひとこと〉
ヒロインの女の子が語ったセリフで、僕の心に残った言葉がある。
"恋愛って、そんなに必要なものかな?自分が男の人とちゃんと付き合うところなんて、想像できない"というセリフ。
このセリフにであっった時、思わず「ああ、わかる!」と思ってしまった。
まあ、今年の三月で大学を卒業する人間が言うのもなんだけど、僕はいまだ女の人に恋をしたことがない。
でも、恋愛に興味がないってことじゃないんだ。
もしもデートするならどこがいいかなとか、雨の日にそっと彼女に傘を差し出してみたいなあなんて、よく想像する。
そして、夜景を眺めたり公園でピクニックに行ったりデートでは女の子が楽しんでいる姿を頭の中で思い浮かべる。
で、相手の女の子は僕にいえない悩みを抱えていてカフェテリアでぼーと外の雨を眺めていて、憂に満ちた彼女に僕がそっと傘を差し出して、元気づけたあげるんだ。
ーと、僕の想像はどんどん広がっていく。
まあ要するに、22歳にもなって僕はまだ「恋に恋する」年頃なのかもしれないということだ。
頭の中で恋をしている僕。
恋を夢見る女子高校生みたいな心境だ。
僕はまだ、運命の女性に出会っていないのかもしれない。

 

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『日本SFの臨界点-怪奇篇』 編者-伴名練

タイトル 『日本SFの臨界点-怪奇篇』
編者    伴名練

日本を代表するSF短編のアンソロジー

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〈内容〉 
「2010年代、世界で最もSFを愛した作家」と称された伴名練が、全身全霊で贈る傑作アンソロジー
幻想・怪奇テーマの隠れた名作11本を精選。
全作解題のほか、日本SF短篇史60年を現代の読者へと再接続する渾身の編者解説1万字超を併録。
ーアマゾンより引用

 

〈収録〉
中島らも『DECO-CHIN』
山本弘 『怪奇フラクタル男』
田中哲弥『大阪ヌル計画』
岡崎弘明『ぎゅうぎゅう』
中田永一『地球に磔にされた男』
光波耀子『黄金珊瑚』
津原泰水『ちまみれ家族』
中原涼 『笑う宇宙』
森岡浩之『A Boy Meets A Girl 』
谷口裕貴『貂の女伯爵、万年城を攻略す』
石黒達昌『雪女』

 

〈ひとこと〉
 以前、伊藤計劃さんの『ハーモニー』を読んでからSF小説に興味を持った。
 SF小説の金字塔といえば劉慈欣の『三体』やフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』などが挙げられるが、僕の知っているSF小説の有名作品はどれもこれも外国人作家によるものだった。
 日本のSFってどんなものなのだろう。
 ふと疑問に思い僕は本書を手に取った。
 『日本SFの臨界点』は日本人作家によるSF短編が多数収録されたSFのアンソロジー
 日本のSF小説を知りたい僕にとってとても都合のいい本だった。
 このアンソロジーの中で特におすすめなのが、岡崎弘明さんの『ぎゅうぎゅう』と森岡浩之さんの『A Boy Meats A Girl』だ。
 『ぎゅうぎゅう』は人が座る場所もないほどのすし詰め状態で立ち尽く世界で、青年が生き別れた女性に会いに旅に出る物語。青年とその女性は生まれた時から顔を向かい合わせて育ってきた。ところがある事件をきっかけに、青年と女性は離れ離れになってしまう。人が立ち尽くすこの世界で、もう一度彼女と再会することは困難を極めた。なぜならこの世界ではあらゆる移動行為禁止されていたからだ。一人の安易な身動きで町中で立ち尽くす人々がいっせいに雪崩崩れるドミノタオシが発生しかねない。青年は以上に人口爆発したこの世界で危険を顧みず彼女を探す旅に出るというのがこの物語のストーリー。
 対して『A Boy Meats A Girl』は意志をもった少年の惑星が、膨大な宇宙空間で奇跡的に少女の惑星に出会うというもの。少年の惑星は彼女に出会うまでは、眠っては覚めてそしてまた眠ってを繰り返していた。自分が何のために宇宙空間を漂っているのか、少年にはわからない。少年は自身の退屈な人生に飽きることなく、そして人生の退屈さにすら少年は気がついていなかった。そんな時、少年は彼女に出会い、不思議と彼女に惹かれていく。そんな物語。
 まあ、二つの物語から分かる通り、SF小説にしてもなにしろ「恋愛」の要素が絡む胸焦がすような物語が好みなようだ。
 SFと恋愛を掛け合わせたような物語ないかな?
 ちょっと探してみよう。
 そう思った今日この頃。

 

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『ミヤマ物語』 あさのあつこ-読書日記

タイトル『ミヤマ物語』

著者   あさのあつこ

 


異世界の少年と現代の少年が手を取り合い、不条理な定めに抗うファンタジー

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〈あらすじ〉

夜の世界「ウンヌ」に暮らす少年ハギは、最下層の「クサジ」として水汲みの母トモと貧しい暮らしを送っていた。

誰も姿を見ることが許されない村の統治者「ミドさま」の飲み水に粗相があったとして、トモに死罪が言い渡されるが…!

別次元の現代、学校でいじめにあう孤独な少年透流は、ある日「ウンヌへ行け」という不思議な声を聞く。

生まれも育ちも世界も違う二人の少年が運命に導かれて出会う、ファンタジー大作第一部!

ーアマゾンより引用

 


〈ひとこと〉

僕は物語を読みながら、素敵なフレーズを探すのが好きだ。

あ、これいいなというフレーズを見つけたら、付箋を取り出して、そのフレーズの上にペトっと貼る。

素敵な言葉との出会いを忘れたくないからだ。

そして想像する。

この言葉を使って物語のストーリーを描けないだろうかと。

たとえば、この『ミヤマ物語』でこんな言葉を見つけた。

"涙は止まらない。青い花びらを濡らす雨粒のように、ほろりほろりと涙が零れる"

たった2行のフレーズを見ただけで、僕の想像の翼が広がる。

ここからは僕の想像の世界だ。

「涙は止まらない」かあ。

じゃあ、恋愛小説がいいな。

青年が夜の街を一人寂しく歩いている。

きっと長年付き合っていた彼女に別れ話を切り出されたのだろう。

青年の足取りは重い。

まるで彼女と過ごした幸せな日々が青年の体にまとわりつき、彼を引き留めているかのように。

夜がかわいそうな青年に同情したのか、ぽつりぽつりと雨が彼を包み込む。

冷たい雨と湯玉のような熱い涙が青年の頬をぬらした。

青年は彼女のことを思い出して、夜の雨空を見上げる。

僕ならこんな場面でこのフレーズを使うな。

"涙は止まらない。青い花びらを濡らす雨粒のように、ほろりほろりと涙が零れる"と。


この『ミヤマ物語』はそんな、僕の想像力を全開にするような素晴らしい言葉で溢れていました。

 

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『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』 ジェームズ・ブラッドワース-読書日記

タイトル
『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』
著者
ジェームズ・ブラッドワース

アマゾンの倉庫とウーバーのタクシーで働いた著者が語る、低所得労働者の実態とは?

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〈内容〉
これは「異国の話」ではない。 英国で〝最底辺〟の労働にジャーナリストが自ら就き、体験を赤裸々に報告。
働いたのはアマゾンの倉庫、訪問介護、コールセンター、ウーバーのタクシー。
私たちの何気ないワンクリックに翻弄される無力な労働者たちの現場から見えてきたのは、マルクスオーウェルが予言した資本主義、管理社会の極地である。
グローバル企業による「ギグ・エコノミー」という名の搾取、移民労働者への現地人の不満、持つ者と持たざる者との一層の格差拡大は、我が国でもすでに始まっている現実だ。
ーアマゾンより引用

 

〈ひとこと〉
以前、イギリス人作者が書いた『動物になって生きてみた』を読んだことがある。
この本は、イギリスに生息する動物の生育環境を作者が実際に体験し、感じたことを本に記したものである。
アナグマの生活を探るために泥炭質の丘陵地に穴を掘ってそこで生活してみたり、カワウソの生活を知るために四六時中身の凍るような川の中で過ごし、そこに息づく野生動物の声を作者は生身で聞いた。
この世には直に体験しないとわからないことがあるのだ。
今回読んだ『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車の中で発狂した』もそんなイギリス人の、直接経験しなければ本質を理解できないという、独特の考え方が如実に現れた本だと思う。
この『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車の中で発狂した』は金銭的にゆとりのあるイギリス人の著者が、イギリスの低所得者の過酷な仕事内容を一年くらい経験して、なんでお金のない人々がこんなにもみじめな生活を送らねばならないのかを考察するというもの。
まあ、薄給に喘ぐ低所得者の生活を自らが経験しないと、日々の頻拍している低所得者の考えなんてわかんないだろの精神で、アマゾンの倉庫やウーバーのタクシーで著者は働く。
そして見えてきた現実。
アマゾンの倉庫でに働く従業員の賃金は、イギリスの法で決められた最低賃金よりも低いということ。
そしてイギリス国内では失業者が溢れかえっている。
だからアマゾン側は不満があればすぐグビにして、また新しい失業者を雇うので、賃金を上げようと思っていてもなかなか上がらない。
あと移民の問題。
アマゾンとかウーバーとか質の悪い最低賃金の現場はルーマニア人の移民が半分以上を占めている。
困窮したイギリス人の就職先は移民が独占していて雇用が奪われた。
(これがイギリスがEU離脱をした理由の一つ。EUに所属している限り移民を受け入れなければいけない)
著者が潜入したアマゾンとかウーバーは、雇ったパートナーのことなんか考えない、やりたい放題の残酷な企業だった。
アマゾンやウーバーで働く従業員は、どんなに理不尽な労働環境でも、アマゾンやウーバーで従順に働かなければならなかった。
たとえ休憩なしで10時間働かなくてはならなくても、たとえ給料が正しく支払われなかったとしても、たとえ保険に加入できなかったとしても、たとえ宣告なしですぐ雇用を解除されても、彼らはこの地獄のような労働環境で働かなければいけなかった。
今、アマゾンやウーバー、あとウォルマートなんかの大型企業が市場に躍進してきて、小さな個人経営の市場は淘汰されつつある。
今、進化したAIがいずれ人間の思考を超え、未来の人間の仕事を奪ってしまうのではないかと危惧されているが、もうすでに人類の雇用はこの大型企業に奪われつつあるのかもしれない。

 

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『負けないパティシエガール』 ジョーンバウアー-読書日記

タイトル 『負けないパティシエガール』

著者    ジョーンバウアー


パティシエになりたいという夢をもった少女の成長物語。

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〈あらすじ〉

お菓子作りの大好きなフォスターは、毎日必ずケーキを焼くことにしています。

なぜって、そうすれば、いつでもどこでもおいしいものが食べられるから。

ある日、ママとといっしょに家を出て、新しい生活を送ることになります。フォスターを待ち受けているのは…?

ーアマゾンより引用


〈ひとこと〉

一月の終盤に図書館で見つけた一冊。

それは2月14日のバレンタインになんの本を投稿するか迷っていた僕にとって、奇跡的な出会いだったと思う。

本の表紙には色とりどりのカラフルなカップケーキ。

バレンタインは想いを込めてお菓子を手づくりする季節。

バレンタインにはぴったりの本だ。

バレンタインの日には、この本を投稿することを一目見た瞬間に決心した。

この物語の主人公はパティシエを志す小学6年生の女の子。

彼女は料理をするのが大好き。

特にレパートリーが豊富なカップケーキを自作することが得意だ。

お菓子を作ることが得意な彼女ですが一つだけ、人には言えないコンプレックスがあった。

それは彼女が「文字が書けない、読めない」ということ。

いわゆるLD(学習障害)と言われるものだ。

彼女は字を書くことも読むこともできないので、料理のレシピ本は読みたくても読めない。

彼女は料理のレシピを自慢の記憶力を頼りに全て暗記した。

どんなに努力しても文字が読めない彼女は、学校では学校の笑の的だった。

彼女がどんなに読み書きの練習を積み重ねても、周りからは無能と揶揄され、自身の努力を理解されない彼女が僕の目からは哀しく写った。

なんか、この物語は宇佐美りんさんの『推し燃ゆ』と雰囲気が似ているなと思う。

推し燃ゆの主人公も発達障害(もしくは学習障害)を抱えていて、人が簡単にこなしていることも、その主人公は何十倍も努力しないとできなかった。

何もかもがうまくできずグループの中では劣等感や疎外感に悩まされていた主人公だが、圧倒的スターの推しになることで、主人公は社会に溶け込むことができた。

一方、『負けないパティシエガール』の主人公は読み書きができず、なかなか自分の思いを理解されないせいで、いつも孤独感を抱いていた。

彼女はカップケーキを作ることで周りの人間と繋がりを持てた。

彼女はそれで自由に息ができたのである。

どちらの主人公もみんなが容易くできることが、かなりの努力をしないとこなすことができない。

そういう彼女らは何かに依存することでしか、人との繋がりを得ることができないようだ。

一人は推しを崇拝し、一人はカップケーキを作ったように。

この物語は読み書きのできない少女がカップケーキを通じて、苦手を克服し人との繋がりを広げていくお話だ。

もし、宇佐美りんさんの『推し燃ゆ』が好きなら、この本も読んでみてほしい。

きっと気にいるから。

 

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『ただいまの神様』 鈴森丹子-読書日記

タイトル 『ただいまの神様』
著者    鈴森丹子

 


神様らしいことは何もしないけれど、そばにいてくれる優しい存在。

神様シリーズ第二弾!

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〈あらすじ〉

悩みごと、憂いごと、ひとりで抱えこまないで!“なんでも話せる相手がいる”、その温かさをあなたに。
侍言葉を話すタヌキ型の“山の神”、江戸言葉を話すエゾリス型の“森の神”。
奇妙な神様があなたの心をときほぐす、ほっこりリラクゼーションストーリー!
ーアマゾンより引用

〈ひとこと〉
以前読んだ『おかえりの神様』がとても面白かったので、続編である『ただいまの神様』をブックオフで見つけ早速購入。
恋に悩む男女に神様たちが、主人公の隣でまったりしながらさりげなく助言するという、ハートフルでホッコリな物語です。
この物語に登場する神様たちはとてもとても個性的。
私の推しはマヨネーズ大好きな山の神。
食べるもの全てにマヨネーズをかけてしまう、マヨネーズ中毒の神様です。
前作ではバニラアイスにマヨネーズをたっぷりかけ、キャップに口をつけてマヨネーズを直接ぐびぐびしていた彼ですが、今作では明太マヨのおいしさに気づき、マヨネーズ好きの新天地へと邁進していきます。
遅いですよね。
明太マヨの悪魔的美味しさに気がつくの。
そして、今回初登場だったのがコーヒー大好き森の神。
彼女はコーヒーを片手にコーヒーゼリーを食べたかと思えば、コーヒーを片手にコーヒー饅をハムハム、コーヒーを片手にコーヒー味の飴玉をポリポリする華麗なるコーヒー中毒者。
物語では語られませんが、カフェインの取りすぎで不眠症確定ですね。
絶対寝不足に悩まされてますよ、この神様。
今回も個性的なキャラをもった神様が出てくるほんわか小説でした。

 

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『おかえりの神様』 鈴森丹子-読者日記

タイトル 『おかえりの神様』
著者    鈴森丹子

神様らしいことは何もしないけれど、そばにいてくれる優しい存在。

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〈あらすじ〉
24歳になったばかりの神谷千尋は、たび重なる仕事の失敗と上京してから友達ができずにいる孤独感とで、心が押しつぶされそうな気持ちを抱えていた。
会社の帰り道「本当にいたらいいのに、神様」と思わずにはいられなかった千尋の前に、一匹のたぬきが現れる。
思わずたぬきを拾い上げて家に連れて帰ってしまった千尋
翌日会社から帰えると、昨夜連れて帰ったたぬきが突然喋り出し、自分のことを「神様」だとか言い出して…。

 

〈ひとこと〉
再読です。
この本は僕のお気に入りの一冊。
手垢にまみれるまで読ん、ではいないけど、ここ1年ちょいで3回も読みかいしているから、手垢にまみれつつある本です。
1回目はこの本を買ってすぐに、2回目はインスタグラムに投稿したくて半年後に、3回目はこの本の続編を買ったので物語を読み返すために。
この本の見どころはやっぱり個性の強い神様たちだろうな。
例えば、たぬきの姿をした山の神。
主人公の作った壊滅的な手料理を完食するためマヨネーズをかけたら、マヨネーズにどハマり。
マヨネーズを片手に主人公たちの話をうんうんと聞いています。
(彼のマヨ好きは、バニラアイスにもマヨネーズをかけるほど)
例えば、ビーバーの姿をした川の神。
ビールを片手に主人公の話を聞いていた彼女ですが、お酒のおつまみを切らしていたので、仕方なく手近にあったチョコをお酒の肴にしたら、チョコレートにどハマり。
チョコレートを頬張り、もぐもぐしながら主人公たちの話を聞いています。
(彼女のチョコ好きは、徒歩圏内の洋菓子屋のチョコスイーツを全制覇してしまうほど)
癖の強い神様たちにほっこりした今日この頃。

 

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『日本焼肉物語』 宮塚利雄-読書日記

タイトル 『日本焼肉物語』
著者    宮塚利雄

この本を読んだら、今すぐ焼肉が食べたくなる!

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〈内容〉
いまや、一大外食産業に成長した焼肉店。しかし、「焼肉」は、在日韓国・朝鮮人が苦悩の中で生み出した日本生まれの料理だった。
――現在の焼肉店のルーツは? 
朝鮮半島の南北の対立が与えた影響とは? 
日本の焼肉の独自の特徴は?
「焼肉」の誕生から現在までを、関係者への取材と豊富な資料で描き出した、初めての焼肉発展史。

ーアマゾンより引用

 

〈ひとこと〉
自分にはちょっと難しい本でした。
難しいというより、書いてあることが専門的すぎて興味がそそられなかったと言った方がいいかもしれない。
紆余曲折が多くて、本題に入るまでがなかなかに時間がかかる。
日本に焼肉が伝わる前の日本の食糧事情について、この本はざっと100ページを費やしていた。
読んでみてわかった。
この本は前置きがひたすらに長い本だったのである。
ゆえにこの本の著者には悪いが、僕は最初の100ページは読まずにすっ飛ばしてしまった。
本当に申し訳ない。
だって興味がそそられなかったのだからしょうがない。
焼肉のことが知りたいのに、焼肉以外のことを語られて、ちょっと辟易してしまった。
いつからだろう、手に入れた本を読書初心者みたいに1から全部読まなくなったのは。
最近本を読んでいて「あ、この本は自分とは合わないな」と思った本の対処法が上手くなった気がする。
わからないところをすっ飛ばして読むか、諦めて次の本に挑戦するか、間断なく流れるように決断できるようになった。
今日は「興味のない部分をすっ飛ばして読む」方法を選んだ。
100ページあたりから、この本に引き込まれるように読み進めた。
焼肉は朝鮮(プルコギ)が発祥で、戦後日本に伝わり独自の進化を遂げたこと。
朝鮮の焼肉と日本の焼肉の一番の違いは、朝鮮はタレに漬け込んだ肉を焼くのに対し、日本は肉を焼いた後にタレをつけるということ。
換気設備の改良により、店舗内部がキレイになり、脂っこい煙の充満する男が集う焼肉店から、女性客やファミリー層をも集う瀟洒焼肉店が増えたこと。
仙台の有名な牛タンは、戦後の仙台の街に駐屯した米軍によって牛肉の消費量が増加し、牛肉の端材をなんとかして食べられないかと日本人が知恵を絞った結果生まれたということ。
いろんなことをこの本で学ぶことができた。
読書スキルがいつのまにか向上していることを実感した今日この頃。