『ゼロから始める異世界生活』 長月達平-読書日記
タイトル『ゼロから始める異世界生活』4~6巻読了
著者 長月達平
〈あらすじ〉
突如、異世界へ召喚された高校生ナツキスバル。
異世界に召喚されたはいいが、異世界転生もののお約束である、特別な力に目覚めることもなければ、魔法なんて一切使えない。
おまけにチートスキルもない。
与えられた力は『死んだらセーブポイントに強制的復帰される』というもの。
これは非力な主人公が幾多の時間を行き来し、仲間を得て困難を乗り越えていく物語。
〈ひとこと〉
リゼロは1冊ずつ投稿するのではなく、3冊読んだら一回投稿する、というように3冊読んだらまとめてそれを投稿するようにした。
なぜって?
まあ、いろいろ理由はあるけど、その最たるものが、リゼロは全33巻もある超ロング長編小説だということ。
33巻ぶんも感想を書くなんてできない。
無理無理。
ぜーたい無理。
5冊目あたりで書くことがなくなり、どんな感想を書こうか悩み抜き苦悩する自分の未来像がありありと想像できる。
で、驚くべきは、この本、33巻もこの世の中に出回っているというのに、今だ未完結で、続編が続々と刊行されているのだから驚き。
あと、社会人って忙しいじゃん?
インスタで読んだ本、ちくいち投稿できないしね。
社会人たるもの、3冊読んだら一回投稿くらいの頻度がちょうどいい。
で最後に、超ロング長編ライトノベル の『リゼロ』を6冊くらい読んで、ちょっと思ったことをひとこと。
これ、長くね?
全33巻読み終わるのはいつのこと?
「日が暮れる」という言葉じゃ収まらないほどに、途方もない。
てか、全33巻読み終わっている人いるの?
アニメで見ればよくね?
Amazonプライムでリゼロを探してみる。
あ、あった。
シーズン1、シーズン2どちらも。
リゼロを6冊読んでまだ6冊かあと途方に暮れ、アニメ視聴という邪道に心迷わす今日この頃。
〈グループ〉
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『ここからは大人のはなし』 LiLy-読書日記
タイトル『ここからは大人のはなし』
著者 LiLy
〈あらすじ〉
"ああ!「キスもセックスも恋愛も同棲ついでにセックスレス経験しちゃって、男との初めてのことなんて結婚くらいしか残ってないし、結婚なんて同棲みたいなもんっしょ」と、人生だいたいわかっちゃった気になって退屈していた過去の自分に、教えてあげたい。あんたが見据えていた未来のその先、半端なく濃いぞ、と"
ー本文より抜粋
〈ひとこと〉
この本は大学の研究室で拾った。
研究室の片隅でひっそりと、まるで忘れられたかなように、息を潜めるようにして持ち主が探しにくるのを、この本は待っていた。
それから3日。
香気成分分析を終えて研究室に戻り、ふと研究室の端を見ると、そこには件の本が肩身が狭そうに放置されている。
まだあったか。
そう思って、そっとその本に触れてみる。
一度人の手に渡り、読まれずに存在を忘れられた本というのは、やはり哀れだ。
誰も読まないなら僕が読む。
僕がこの本を家に持ち帰ったとしても、誰も文句いうまい。
そう思って手に取った本がこれ。
こういう本との出会いもある。
卒業式の前日だった。
そしてこの本を手にしてから2ヶ月。
読書仲間である、インスタアカウント@julicotten さんが「エッセイ・ノンフィクションの本をみんなで読み合いましょう」と呼びかけていたので、これを機にこの本を読んでみることにした。
この本を読んでいて、心に残った一文がある。
"「青春」は自分の後ろへ流れてゆく。
すると、独特の切なさと甘さを含む爽やか香りを、それは背中の向こう側で放り出す。その魅力的な匂いに、後ろ髪を引かれる人が多くいるのもわかる。
(略)
それは、「若さを追い求め続ける女の不幸」にも、
通じている。"
ー本文より抜粋
彼女は女性について、酸いも甘いも経験した30歳を超えた女性の恋愛感というもの、とりわけ若い青春を生きていた女性と歳をとり現実を知った現在の女性たちの人生観の違いを、独自の美的センスで書いている。
でもそれって社会人の誰しもに言えることなんじゃないかな。
僕にも、君にも、そしてこの感想を読んでいるそこのあなたも。
今年大学を卒業して社会人になった僕は、この本を読んでハッとした。
恋愛は経験したことがないからわからないけれど、
たしかに人生の楽しみ方は社会人になって変わったなと思うふしがあるからだ。
30をすぎ、離婚を経験し、二児の母になった作者の、昔を思い今の自分を達観するノスタルジックな感慨が、痛いくらいに共感できる。
僕は社会人になって「遊ぶ」という感覚が抜けてしまったように感じる。
学生の時は何事ももっと楽しんでいたと思う。
それは恋愛以外にも言える。
何をするにも楽しかった。
勉強するのも楽しかった、友達と取り止めのない無駄話で笑い合ったのも楽しかった、部活で肩を並べてみんなと走るのも楽しかった。
心の底から。
会社に入社した現在も、まあ、楽しいよ?
新しい仕事を覚えるのは楽しい。
従業員と協力して、同じ目標を目指し手を取り合って、一つの仕事に従事することも楽しい。
よりよい仕事をするために、あーでもないこーでもないと、試行錯誤して仕事に打ち込むことも、
また楽しい。
でもね、社会人の「楽しさ」っていうのはさ、ちょっと重いんだ。
その重さっていうのを、違う言葉に置き換えると、「責任感」という重圧に変換できるのかな?
社会人っていうのは決まり事が多い。
そして失敗ができない。
楽しいんだけど、その社会人の楽しさっていうのは、大人のルールの範囲内で許された楽しさなんだ。
社会人になって僕はそれを痛感した。
学生の時はもっと自由だった!
なぜなら「失敗」という言葉を知らなかったから。
だからあの時は、(と言っても1〜2ヶ月前まで学生だったのだけれど、)本当の意味で自由に世界を見て聞いて感じて、肌に触れるもの全てを心の底から楽しんでいたのだと思う。
若い時の楽しさというのは、純粋無垢でメラメラと燃え上がるような楽しさだと表現すると、現実を知り一般常識をインプットした僕ら社会人の楽しさというのは、心弾むんだけどなんだか熱くなれない、体は息を切らして走っているのに頭は冴え渡っているような、そんな熱い感情を冷静な自分が上から俯瞰するような楽しさというのかな。
大人の楽しさと青春の楽しさは、やっぱり違う。
そういうことに気がつけさせてくれた一冊。
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『ニィーニの森』 SHOOWA-読書日記
タイトル『ニィーニの森』
作者 SHOOWA
〈あらすじ〉
ケモ耳主人公が織りなす男同士の恋物語
〈ひとこと〉
“ケモナー”という言葉がある。
擬人化された動物キャラクターを好む人たちのことだ。
たぶん僕もケモナーの一人だと思う。
特に普通の人間に動物のパーツが付け足されているようなキャラクター、例えば頭にケモ耳が生えていたり、臀部からしっぽが生えているキャラクターが好きだ。
猫耳むすめとか出てきたら、思わずうっとりと眺めてしまう。
語尾に「にゃっ」ってつくと、もう最高。
思えば本の苦手なジャンルも、擬人化されるとすんなりと受け入れられるような気がする。
最初に読んだBL小説も、拾われたオス猫が主人のことを忘れられず、人の姿に変身して会いに行くという物語だった。
で、今回読んだBL漫画がこれである。
ニィーニの森で繰り広げられる男の恋を描いた連作短編の漫画なのだが、二つ目のエピソードが僕はお気に入りだ。
壮年のオス狼が幼い子猫を拾って、ニィーニの森で子育てするという物語だ。
この親子、結構ラブラブ。
オオカミ父と仲良く喋る女性に嫉妬して、ネコ息子はブスッと不機嫌になるし、毎晩一緒に寝て、キスして二人して照れてる。
親子というより、もう恋人ですね。親子間の恋って、ちょっと無理があるかなあなんて思うけど、
BL本だからねー、許す!
そんな熱々のイヌ科ネコ科親子でしたが、とうとうオオカミ父が命の終わりを徐々に感じ始め、最愛のネコ息子を一人残してこの世を去ってしまうことに罪悪感を覚える。
そしてついに、言いようもない不安と心配、そして底知れぬ悲しみを抱えて、オオカミ父はこの世を旅立つことに…、という物語。
ね?
泣けるっしょ?
親子の絆、親子の愛、親子の恋に、涙グスッとして涙ポロッとした今日この頃。
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『follow me ふゆのきつね』 井上浩輝-読書日記
タイトル『follow me ふゆのきつね』
作者 井上浩輝
ナショナルジオグラフィックの賞を受賞したカメラマンによる写真集
〈内容〉
一面銀世界の大自然で息づくキタキツネの営みをとらえた写真集。
"本書に収録したキタキツネの写真の多くは、「A Wild Fox Chase」と名付けたシリーズだ。
Wild goose chase (無駄な試み)という英語の慣用句もじって付けた。
僕が北海道でまず取り組んだのは風景写真だった。
自然を前に何時間もシャッターチャンスを待ち続ける僕の横を、素早く駆け抜けていったり、白銀の大地へ真っ逆さまに飛び込んだり、ときには目の前に優雅に座るふわふわの生き物がいた。
キタキツネだった。
僕の被写体は次第に、風景から神出鬼没な彼らに移っていった。"
ー本文より抜粋
〈ひとこと〉
この写真集を眺めていて、興味深いことに気がついた。
僕が「あ、いいな」と思う写真は、ことごとく狐がカメラ目線で映る写真が多かったことだ。
野生動物の目は不思議だ。
切れ長の細長い瞳孔、しっとりと濡れた茶色がかった瞳。
彼らは何を見つめているのだろう。
写真の中に映る彼らは、強い意志を持って僕を覗き込む。
まるで何もかも見透かしているかのように。
まるで僕の人となりを吟味しているかのように。
静かに息を潜めるかのように彼らは僕のことを見据える。
写真集を開いて眺めているのは僕なのに、見られているのはこちらなのでは?と思ってしまう錯覚。
写真の中の曇りない彼らの瞳に見つめられると、なんだか自分がとても矮小な人物に思えて、いたたまれなくなって早く目を逸らしてしまいたくなる。
僕は野生動物のもつ力強い瞳が好きなのだと思う。
そう思うのはきっと野生動物のもつ目が、純粋で、混じり気が無くて、ひどくまっすぐで、命の輝きに満ちているからなのだと思う。
そして彼らの目と比べてみて、自分の瞳がどんなに曇っているか痛感する。
それだけで自分がどれだけ、曲がりくねった道を歩んできたかがわかるから。
彼らの目は朝露に濡れ、しっとりと光り輝く新緑の若葉を見つめているが、僕は道路の水たまりに映る、疲れ切った自分の顔を見つめている。
彼らは初めての今日を彩る、地平線の太陽を眩しそうに眺めているが、僕はまーた1日が始まるよと、朝登る太陽を辟易しながら眺めている。
彼らは春風の流れを目で追っているが、僕は目の前を通り過ぎる電車を漫然と目で追っている。
彼らは肉食獣の右に残った爪痕を、警戒の色を浮かべて見つめているが、僕は舌打ちをして紙をくしゃくしゃとする上司を、鼻で笑いながら横目で見ている。
たぶん野生を生きる者たちと僕たちとでは、同じものを見ても見ている景色は全然違うんじゃないかな。
自然の中に満ちる、言葉にできず翻訳することのできない、でも生きるためには何よりも重要な何かを、彼らはじっと眺めているのだ。
僕たちにはもう見ることのできない何かを。
写真の中から彼らが問いかけてきたように感じた。
「それなくして、どうやって生きていくんだい?」と。
僕は答えを用意することができなかった。
〈グループ〉
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- 価格: 2200 円
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『手紙物語』 鳥野しの-読書日記
タイトル『手紙物語』
著者 鳥野しの
〈内容〉
「手紙」で始まる5つの物語
〈ひとこと〉
「私的、誰も読んでいないけれど僕の中では一等賞」受賞!
誰も読んでいないけれど、面白い本というのがこの世には存在する。
こういうたぐいまれな本に僕は、「私的、誰も読んでいないけれど僕の中では一等賞」を心の中でその本に授けることにしている。
そして、鳥野しの『手紙物語』は漫画では初めての受賞である。
僕は「みんなの知っている面白い本」よりも、「誰も読んでいないんだけど、自分だけがこの本の良さを知っている」という本を読むことに喜びを感じる人間である。
こういう本をどのように見つけるのかというと、やっぱり古本屋をぶらぶら徘徊していると、きらりと光る原石のような本に出会うことが多い。
趣味は家周辺のブックオフを巡ることである。
まあ、僕はブックオフをぶらぶらするのが好きなのだけれど、特にブックオフの100円コーナーを物色するのが好きだ。
なぜなら、自分好みの「みんなの知らない面白い本」というのは、たいてい100円コーナーにしれっと並んでいることが多いからだ。
「誰も読んでいないけれど面白い本」は激安コーナーを見て回るとたいていは1冊、2冊は見繕うことができることを、経験的に知っている。
いわゆる掘り出し物というやつだ。
この漫画も例に漏れず、ブックオフの100円コーナーで見つけた。
手にとって読んでみる。
お、面白いではないか。
なぜこの漫画はあまり知られていないのだろう。
ちょっとよくわからない。
わからないが、面白かったのは確かである。
この短編集の中で、特にお気に入りが『苺とアネモネ』という作品。
女の子が恋をした相手は海の世界のプリンス。
少女のそばにずっといたいと願うが、海の主は彼を海へ連れ戻してしまう。
彼と引き離された少女は、海の不思議な力で彼との思い出を全て忘れてしまう。
そんな折、彼のことを忘れて日常生活をそつなくこなす彼女の元に、一通の手紙が届く。
差出人は見知らぬ青年。
その手紙を読んだ少女は…。
という物語。
「私的、誰も読んでいないけど僕の中では一等賞」をこの漫画に認定しようと思う。
この機会に過去の受賞作も紹介しようと思う。
興味があればぜひ、手にとってみてほしい。
〈私的、誰も読んでいないけど僕の中では一等賞・受賞作〉
『死神を食べた少女 上下』七沢またり
『お父さん、異世界でバイクに乗る』さとう
『雨の日のアイリス』松山剛
『きみに、にゃあと鳴いてやる』村田天
『拝啓、最果ての勇者様へ』三萩せんや
『狐笛のかなた』上橋菜穂子
『声が出なくなったので、会社を辞めて二人暮らし始めました。』神戸遥真
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タイトル『落窪物語』 田辺聖子-読書日記
タイトル『落窪物語』
作者 田辺聖子
〈あらすじ〉
貴族のお姫さまなのに意地悪い継母に育てられ、
召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられている、おちくぼ姫と青年貴公子のラブ・ストーリー。
千年も昔の日本で書かれた、王朝版シンデレラ物語。
ーアマゾンより引用
〈ひとこと〉
田辺聖子さんの物語は以前、『ジョゼと虎と魚たち』と『むかしあけぼの』を読んだことがある。
今回は同作者の『落窪物語』。
『ジョゼと虎と魚たち』と『むかしあけぼの』もそうなのだが、やっぱり田辺聖子さんは、恋する女性の心を描くのが得意な作家さんなのだなとあらためて思う。
この物語は平安時代の宮中を描く。
この時代の恋はまず手紙から始まる。
男はどこどこに素敵な女性がいると知ると、手紙に風流な和歌を添えて意中の女性を口説いた。
この時代の恋愛は男性が女性のもとに、密かに通うことが常識だ。
女性は家族以外に顔を見られてはいけなかった。
結婚して初めてお互いの素顔を知るというのはざらで、大抵は幕を隔ててこの時代の恋人たちは会話を楽しんだ。
女性の元には毎夜毎夜、男が人目をしのんで訪れた。
この時代の恋というものは、みんなが寝静まる真夜中に花開くものだった。
情熱的な夜を過ごした男は、朝露がけむる明け方に、後ろ髪を引かれる思いで女の元をあとにした。
女というと、自分のために足を運ぶ男のために、めいいっぱいの身支度を整えて、男たちを迎え入れた。
あの方が私の元に来られるの。
なら、めいいっぱいメイクアップしなくちゃ。
顔に白粉を塗って、髪には香をたきしめておかないと。
衣はもっと鮮やかなものがいいわね。
あ、そうそう、藤の一重を奥様にいただいたわね。
今日はそれを着ましょう。
会話の最中にお菓子なんかがあると、会話が進んでマッチベター♪
そして部屋の隅に蛾が身を飾って、色鮮やかな几帳(きちょう)で部屋を区切ればもう完璧!
さあ、あとは彼の方をお待ちするだけですわ。
みたいな感じで、うふふ、あはは、おほほしながら、弾む心持ちでこの時代の女性たちは、
愛する男のために身支度を整えたのである。
この物語を読んで、これから思い人に出会えるうきうき感や、殿方に対する淡い憧れ、恋によって人生が彩られていく期待、そんな恋をする女性たちの、春野を駆ける子鹿のように浮き足立つ恋心が、ありありと感じられて胸がときめいた。
やっぱり田辺聖子さんは、恋する女性たちのこういった、「男を待つ女性の気持ち」みたいな、男を想う女性の気持ちを描くのがとても上手いなあと思う。
これを現代風に置き換えるとこんな感じかな。
今日は彼氏とデートの日。
彼はきっと、ジーンズに白Tの上に青いシャツみたいな、今時の大学生のような爽やかコーデで、私の前に現れるだろう。
私も彼の服装に合わせたコーデにしなくちゃね。
確かクローゼットに白いワンピースがあったかしら。
あ、麦わら帽子なんかも合わせるといいわ。
え、もうこんな時間!
あー化粧しなくちゃ。
ドタバタドタバタ。
ファンデーションにちょこっと明るいチークをひとふり。
髪もセットしなくちゃ!
ヘアアイロンで髪をくるんとカールさせてっと。
うんうんいいじゃない。
このパーフェクトヘアスタイルが午後までもってくれますように。
幸せそうにはにかむ自分のほほ笑みにハッと驚く。
あぁ、やっぱり彼のことが好きなんだなあと、
そして鏡に映る笑顔な自分を見て彼女は想う。
彼氏のことを思いながら、鏡の前でるんるん気分でメイクアップする。
女性のひらひら飛ぶ蝶のようなワクワク感が彼女を包む。
きらめく笑顔のざんしを残したまま、愛しの彼氏に会うために、彼女はパタパタとせわしなく、家を飛び出したのであった。
たぶん現代風に書くとこんな感じじゃない?
やっぱり田辺聖子さんは、男を想う女性の甘酸っぱい恋心を描くのが、とても得意な作家さんだ。
深くそう思った今日この頃。
〈グループ〉
『猫とシュガーポット』 雪子 -読書日記
タイトル『猫とシュガーポット』
作者 雪子
〈内容〉
女性と女性の恋を描いた短編集。
〈ひとこと〉
レズビアンな作品は今まで入間人間『少女妄想中』や、宮木あや子『官能と少女』などを読んできたが、いずれも百合小説で、漫画でレズビアンを扱う作品を読んだのは初めてだ。
この『猫とシュガーポット』を読んで思ったことは、登場人物が皆んな可愛いということと、登場人物の見ためが皆んな似ているということかな。
この作品に収録されている物語はどれも10ページ程度の短編集ばかり。
だから必然的に二人の少女のほほえましい日常を
パシャリと切り取ったような物語が多い。
例えば手を繋いだら、彼女の温もりを感じて胸が高鳴ったとか。
例えば会社で嫌なことがあったけど、彼女に頭を撫でられて慰めてもらってほっこりしたとか。
道端に咲いている花のような、注意して見ないと見過ごしてしまうような、毎日の些細な感情のうねりを、ひとコマひとコマに凝縮したような作品たち。
日常に潜む小さな胸キュン場面を繊細なタッチで描く。
そんな作品がぎゅっと詰まった作品集でした。
〈グループ〉
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『きつね王子とひとつ屋根の下』 かたやま和華-読書日記
タイトル 『きつね王子とひとつ屋根の下』
著者 かたやま和華
キツネの爽やかイケメンが女の子に恋をする物語
〈あらすじ〉
芸能誌の編集者・流星きららは、都内の古い洋館で祖母と2人暮らし。
ところが、ある日目を覚ますと、やけに綺麗な顔の青年が。
祖母が居候として迎えたらしい。
遠い親戚の流星桜路、美大の二年生。
そして九尾の狐の子だと言い出して…?
〈ひとこと〉
この本は表紙に惹かれて手に取った。
表紙を見る限り、地味な文型女子が爽やかでふわふわ系の彼氏に恋をする物語なのかなと思ったけれど、ちょと違った。
内容は僕の想像と逆で、イケメン君が地味子に恋をしていて、彼女に対して猛烈に好き好きアピールを敢行。
彼女は屈託のない彼のものいいと距離感の近い振る舞いに戸惑いながらも、徐々に彼を意識してゆく。
そんな物語でした。
まあ僕は、女の子があわい恋心を抱いていて、心に溢れる感情を思い切って彼に告白するというキュンキュンするような物語が好きなのだが、男の子が女の子に恋をして、彼女を幸せにしたいという想い一心で、必死に彼女にアプローチする物語も、たまには興があって面白いなと思う。
雲ひとつない青空にすっと筆を描いた飛行機雲のように、彼のまっすぐで曇りない恋心に心くすぐられた今日この頃。
『Re:ゼロから始める異世界生活(1巻〜3巻)』 長月達平-読書日記
タイトル『Re:ゼロから始める異世界生活』
著者 長月達平
〈あらすじ〉
突如、異世界へ召喚された高校生ナツキスバル。異世界に召喚されたはいいが、異世界転生もののお約束である、特別な力に目覚めることもなければ、魔法なんて一切使えない。
おまけにチートスキルもない。
与えられた力は『死んだらセーブポイントに強制的復帰される』というもの。
これは非力な主人公が幾多の時間を行き来し、仲間を得て困難を乗り越えていく物語。
〈ひとこと〉
僕は本を読んでいる最中に、人から声をかけられることが嫌いだ。
本を読んでいる最中に、「ねえねえ、〇〇君(本名)何読んでるの?」と聞かれ、僕が「この本だよ」と読んでいる本を見せたら、話しかけてきた相手は「(あ、知らない本だ)」と困り顔で硬直し、会話が続かず居心地の悪いいやーな沈黙が場を支配する羽目に…。
という残念なシチュエーションが十中八九を超える確率で、身に降りかかることを経験から知っているからだ。
あの沈黙、ほんと苦手。
4月の前半に今年入社した会社の新人研修があった。
この研修期間中、僕は大城夕紀の『マレ・サカチのたったひとつの贈物』を読んでいたのだが、案の定、誰一人としてこの物語を知っている者はいなかった。
まあ、新人研修のあいだ、
僕が本を読んでいる最中に、初めて会う人たちから「何読んでるの?」と絶え間なく質問され、その地獄のような沈黙を経験したことは、想像に難くないだろう。
というわけで、新人研修の期間中、「何読んでるの?」対策として、みんなが知っている物語を読もうと決心した。
それが『Re:ゼロから始める異世界生活』だった。
通称『リゼロ』である。
研修の合間に『リゼロ』を何気なーく読んでみる。
「ねえ、〇〇君、何読んでるの?」
「ん?これだよ」
チラ。
『リゼロ』表紙を見せる。
「あー、『リゼロ』かあ。アニメで見たよ。〇〇君も興味あるの?」
さすがアニメ化された伝説のライトノベル 。
聞く人聞く人が百発百中で作品を知っていた。
あの地獄のような沈黙が嘘のよう。
まるで会話に花が咲いたように、話が広がる広がる。
そして友達の輪も広がる広がる。
入社したてで右も左もわからない僕だけれども、『リゼロ』のおかげで新入社員の同期との絆を、ガッチリと結ぶことができた。
『リゼロ』さまさまである。
『リゼロ』片手に、今期入社した同期と仲良くなった僕だったが、同期の社員と打ち解けあったころ、
「あー!『リゼロ』読んでるの?ストーリーが進むと××ちゃん(キャラクターの名前)死んじゃうからびっくりだよねー」
「ネタバレーーー!」
君の暴露にびっくりだよ!
思わず叫んでしまった。
みんなが知っている作品を読むことの弊害に気付いた今日この頃。
『潜熱(1巻〜3巻)』 野田彩子-読書日記
DAY
タイトル 『潜熱(1巻〜3巻)』
作者 野田彩子
〈あらすじ〉
女子大生が悪いヤクザに恋をするお話。
〈ひとこと〉
以前読んだ『恋は雨上がりのように』もそうなのだが、僕は「してはいけない恋」というのに弱い。
人には言えない恋とか、秘められた恋とかって、
人を魅せる赤黒い薔薇の花のような、謎めいた甘美で蠱惑的な魅力を有しているように思える。
今回読んだ漫画『潜熱』は、ザ・僕が好きそうな物語の代表格のような、そんな物語だった。
この物語では主人公の女子大生が悪いヤクザにどんどん惹かれていく。
彼は身体中に刺青があり、1日にタバコをツーカートン吸うし、人を平気で蹴っ飛ばすし、躊躇いなく人を傷つける。
そんなほの暗い闇を抱える彼に、主人公はどうしても魅せられてしまうのだ。
まるで恋に堕ちるように。
まるで恋に溺れるように。
主人公の彼女は堕ちてゆく。
二人の恋を祝福する者は誰もいない。
主人公の女の子の一歩踏み外すと戻れなくなるような、蜘蛛の巣の上でゆれる水滴のような危うい恋心に、ドキドキキュンキュンした今日この頃。
〈グループ〉
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『眠れる美女』 川端康成-読書日記
〈あらすじ〉
「熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の逸品」と三島由紀夫が評した名作「眠れる美女」のほか、「片腕」「散りぬるを」を収録。
「眠れる美女」は1962年度の「毎日出版文化賞」を受賞している。
ーアマゾンより引用
〈収録〉
『眠れる美女』
『片腕』
『散りぬるを』
〈ひとこと〉
ライトなファンタジーや恋愛小説を読みがちな僕が、硬派な純文学を読むのは久しぶりなことである。
堀辰雄の作品を読んでから、今まで嫌厭してきた真面目ジャンル、もとい古典だとか純文学をもう少し読んでみたいと思うようになった。
つまるところ、読みやすい大衆文学ばかり読んでいたぼくが、硬派な純文学に興味を持つという稀有が起こったというわけだ。
そしてなにか面白そうな純文学の本はないかと探して、見つけ出したのがこの本。
なぜ僕がこの本を選んだのかというと、この本が川端康成のフェティシズムが爆発した作品だと聞いたからだ。
そして、この本を読んで一つわかったことがある。
それは川端康成という老人が想像の斜め上をいく、規格外の変態ジジイだったということだ。
表題作の『眠れる美女』は眠り薬でこんこんと眠る娘の横で、老人が熱い息をこぼしながら娘と一緒に一夜を共にする物語だったし、『片腕』は娘の右腕に魅せられた男が、娘から右腕を取り外し、その右腕を愛撫しながら一緒に眠るという物語だった。
ね?
川端康成ヘンタイワールド爆発でしょ?
まあ、だから僕はこの物語たちを読んで、驚きを隠せなかった。
川端康成といえば純文学の祖と言っても過言ではないくらい、この世に名作を数多く送り出してきた文豪である。
『雪国』とか『伊豆踊り子』とか。
はたして『眠れる美女』や『片腕』のような、したたるエロシズムに覆い尽くされた物語と、世に名高い『雪国』や『伊豆踊り子』などを書いた作者は
同一人物なのだろうか。
ぜーーーたいに違うと否定したいが、真実は無常にして残酷。
事実は事実なのである。
開いた口が塞がらないとはこのことかと思うくらいの衝撃。
実は『伊豆踊り子』なら以前、といっても二年以上前のことだが、読んだことがある。
青春の初恋をくすぐる、後味のよい爽やかな物語だった。
こんな醜怪で芳醇なエロシズムのかけらさえなかったと記憶している。
広く世に知られる文豪も、決して完璧という言葉を冠するのは難しいようだ。
どうしてこうなってしまったのだろう。
わからない。
わからないが、人間という生き物は10から1を引いたくらいの性格でいるのがちょうどいいのかもしれない。
光があれば影があるように、才能を昇華し世界に勇翔した傑物でさえ、ゾッとするような暗闇を抱えているものだ。
天は二物を与えない。
そんな言葉がふと頭によぎった今日この頃。
〈グループ〉
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『ifの世界線』SFアンソロジー-読書日記
タイトル 『ifの世界線』
〈内容〉
歴史は変えられる――物語ならば。
色とりどりの“if”の世界に飛び込む、珠玉のSFアンソロジー。
ーアマゾンより引用
〈収録〉
石川宗生 『うたう蜘蛛』
宮内悠介 『パニックー1965年のSNS』
斜線堂有紀『一一六二年のlovin’ life』
小川一水 『大江戸石廓突破仕留』
伴名練 『二〇〇〇一周目のジャンヌ』
〈ひとこと〉
最近、10日に一冊はSF小説を読んでいる気がする。
伊藤計劃さんの『ハーモニー』を読んでから、どっぷりとSF小説には松までいる僕。
今回は『日本SFの臨界点』に引き続き、有名作家さんが集まったSFアンソロジーを読んだ。
特に心に残っているのは、斜線堂有紀さんの『一一六二年のlovin’ life』が印象的だった。舞台は平安時代の日本。そこではなぜか、平安時代にもかかわらず海外の言語・英語が広く一般的に浸透していた。後宮の貴族たちは、和歌を読みその和歌を英訳することで、己の教養と風情を誇示する。天皇の妻である式子は、和歌は読めるがそれに似合った英訳ができず、鬱屈した気分を抱えていた。和歌を英訳できないと人前で披露できず、人前で頑なに和歌を読まない式子を、宮中のかんだちめたちは彼女のことを蔑視していた。そんな中、式子は新しいお世話係として帥(そち)を迎えることになる。彼女は和歌に関する能力はからきしであったが、英語に関する知識は宮中随一であった。式子の和歌を帥が英訳するたび、今まで隠されてきた式子の和歌の天賦の才能が開花。自分の才能を見出してくれた帥に親友としての絆が芽生えるのを感じる式子だったが、帥と和歌の英訳を続けるうち彼女は帥に対して"Love"という感情を覚えてしまう…というもの。
SFとはサイエンスフィクションの略。
『一一六二年のlovin’ life』は平安時代の貴族が英語を話している異常さだけで、SF特有のサイエンス感が全く感じられなかった。
英語が平安時代の日本に広まっているというのは、まあ、ありえないことが起こるという、広い意味でのSFの定義当てはめると、それはそれでSFなのかもしれないと、そう納得している自分がどこかにいる。
まあ、それはそれで置いておいて、僕はやっぱりSF小説に恋愛要素を取り入れた物語が最高に面白いジャンルだと思う。
伴名練の『二〇〇〇一周目のジャンヌ』(フランス革命で活躍したジャンルダルクが自分の人生がループしてしまい抜け出せなくなってしまうというもの)も面白かったのだが、いかんせん甘酸っぱい感情にかける。
やっぱり『一一六二年のlovin’ life』で帥に対する式子の感情が、花開く花のようにゆっくりと甘やかに咲き染める姿が、読んでいでぐっと心掴まれた。
やっぱり愛って素敵だなあと、感慨にふける僕。
今年に入ってSF小説を5~6冊読んでいるので、最近はSF小説に対する耐性が少し出来上がりつつあるのを感じる。
そろそろ一歩踏み込んだSF小説に挑戦してみてもいいかな。
フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』とか劉慈欣の『三体』など、SFの金字塔に手を伸ばそうとしている今日この頃。
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『すずねとひだりて』 榎のと-読書日記
タイトル『すずねとひだりて』
著者 榎のと
〈あらすじ〉
すずねはいろいろ変なものを拾ったりするのが大好きな女子高生。
自分はまわりと違っていて、ちょっとおかしいのかな…? と思いつつ、今日も家に帰ろうとしていたら、道端に「ひだりて」が落ちていて――!?
女子高生すずねと「ひだりて」の、ほんのり不思議な非日常ライフ♪
ーアマゾンより引用
〈ひとこと〉
左手を拾った女の子のはなし。
まだ読んでいないけれど、この物語、川端康成の『片腕』と呼ばれる短編に似ているなと思う。
川端康成の小説のあらすじはこう。
ある娘の右腕に惹きつけられた男がいて、男はその娘に一晩、君の片腕ともに過ごしたいと申し出る。
「片腕を一晩お貸ししてもいいわ」と娘は言い、男に自身の片腕をそっと外し、男に差し出した。
そして男は娘の片腕を愛でながら一晩過ごしたのだったというあらすじ。
元ネタは川端康成のこれなのではと思うくらい、このマンガとすんごい話が似ている。
小説だと狂気的でミステリアスな雰囲気の物語なのに、カワイイ女の子を表示にこの物語をマンガにすると、こんなにもカジュアルでポップな物語になるのかと驚いた。
内容だけで言うと、この物語はホラーですよ、ホラー。
このマンガを読んでいて、ヒロイン・すずねがかいがいしく左手をお世話する姿がとてもいじらしく、ついほっこりしてしまった。
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『マレサカチのたったひとつの贈物』 王城夕紀-読書日記
タイトル 『マレサカチのたったひとつの贈物』
著者 王城夕紀
世にも不思議な病「量子病」に冒され、世界中を跳躍し続ける娘の物語。
〈あらすじ〉
世にも不思議な病「量子病」に冒され、世界中を跳躍し続ける坂知(さかち)稀(まれ)。
大学の図書館から信州の老婆宅に跳んでしまう午後もあれば、中東で目覚める朝や、ウィーンでオペラに興じる夜もある。
これは神のサイコロ選びなのか、一瞬後の居場所すら予測できず、行き先も滞在期間も不明。
人生を“積み重ね"られない彼女が、世界に爪痕を残すためにとった行動とは――。
これからの「幸せ」の意味を問う、感動のSF長篇!
ーアマゾンより引用
〈ひとこと〉
「面白い本、知ってる?」と従姉妹の女の子に聞いたら、「んー、なら、これがオススメだよ」と彼女は僕に一冊の本を手渡してくれた。
従姉妹の彼女はニコニコとその本を勧めてくる。
手渡されたその本は、ページのところどころが擦り切れていて、表紙はヨレヨレだった。
手垢にまみれたという形容詞がぴったりの、使い古されたその本をそっと手に取る。
その本は口を開くことなく、持ち主が抱くその本への思いを、ただ僕の手の上で静かに語りかけてくるようだった。
それが『マレ・サカチのたったひとつの贈物』である。
それから半年、僕の積読本の蔵書に眠っていたのをその本を、久方ぶりに発掘。
彼女の花が咲いたような笑顔を思い出して、むしょーにこの本が読みたくなった。
主人公のヒロインはある場所からいきなり消えて、違う場所にいきなり現れる、粒子病を患っている。
彼女はいろんな場所で、いろんな人と出会う。
出会って、現れて、出会って、また別れて、そして消える。
それの繰り返し。
この本の一番の見どころはなんといっても、彼女が行く先々で出会う登場人物たちが、たびたび彼女に吐露する、含蓄のとんだセリフたちだろう。
例えば、孫娘が稀に見ぬ粒子病に侵され、いずことなく姿を消してしまった孫娘をもつ老人。
港町で漁師として海とともに生きてきたその老人は、海を眺めながら独りつぶやく。
「海があの子にとって小さすぎたのだ」と。
例えば、戦争で別れた夫を待ち続ける老婦人は彼女に言った。
「出会いは神様の意思。でも、出会いは人間の意思」と。
例えば彼女にスクランブルエッグを食べさせてくれた太ったレディ。
彼女は料理をしながらひとこと彼女に呟く。
「基本が一番大事なのさ。基本の料理に、すべてのコツがつまっている」と。
例えば「いつも、これで最後の別れになるんじゃないかと思ってしまうよ」と彼女を引き留めた青年。
彼に振り向きざま彼女がひとこと。
「いつだって、どの別れだって、みんなそうじゃない?」と。
人生とは、人と出会い、別れ、そまた出会い、そして時たま昔を思い出すことだ。
それの積み重ねが人生。
そういうことに気づかせてくれた本でした。
〈追伸〉
この本を授けてくれた従姉妹の女の子よ。
半年間、この本の存在を忘れていた。
長い間この本をほったらかして、ほんとゴメン!
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『のび太という生きかた 』 横山泰行-読書日記
タイトル『のび太という生きかた 』
著者 横山泰行
〈内容〉
勉強も運動も苦手でぐうたらしてばかりののび太。
でも、映画版で大活躍し、しずかちゃんとの結婚と、実は人生の成功者だったのです!
そんなのび太から、無理せずに自分らしく生きて、夢まで叶えてしまう方法を学んでみませんか?
そんなのび太から学べる人生の成功法則を
「のび太メソッド」と提唱。
本書では、「のび太メソッド」を全部で37つ紹介しています。
「のび太メソッド」は、どんなダメな奴でも夢が叶う、魔法の法則です。
みなさんの人生にも役立つようなヒントが、この本にはたくさん詰まっています。
ーアマゾンより引用
〈ひとこと〉
よく家族に「のび太くん」みたいだねとよく言われる。
よく家で昼寝をして本を読んで、たまにランニングして、悠々自適に生きていたから、そう思われていたのかもしれない。
あんなぐーたらと一緒にされるなんて…、ちょっとショック。
でもこの『のび太という生き方』を読んで、自分のことをのび太と呼ばれるのは、やぶさかではないかなと思うようになった。
だって考えてみれば、マンガののび太は最初から何もしないで「できない」と言ったことはほとんどないじゃないか。
例えばスネ夫が親に買ってもらったあれやこれを自慢したときだって、のび太は「僕だってスネ夫のものよりもっと立派なものを手に入れてやるんだ!」と、ドラえもんの力を借りて四苦八苦努力するし、例えばジャイアンとスネ夫にバカにされたときも、のび太は「僕って、なんでこんなにもドジでノロマなんだろう」とドラえもんに相談して(というより、ドラえもんに泣きついて)、弱点を克服しようとする。
まあ、のび太の挑戦というのは、100回挑戦したうち、80%が失敗して、そして15%がうやむやに終わって、残りの5%が成功するという場合が多いような気がするのだが。
そこは目をつぶって見なかったことにしよう。
でもやっぱり、くよくよ考えずがむしゃらに取り組むのび太姿は、ちょっと尊敬できる。
なぜなら気のび太は、気になったことに、さっさと挑戦してみて、いさぎよく失敗しているからだ。
ただ憧れているだけでは、それが自分に向いていないことすらわからないのだから。
そういう大事なことを気づかせてくれた本でした。
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