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『魔術監獄のマリアンヌ』 松本剛-読書日記

タイトル『魔術監獄のマリアンヌ』

著者   松本剛

イラスト パセリ

 

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〈あらすじ〉

これは“魔術”が忌避され、呪いとされる時代の出来事――。

魔術師たちの監獄である『ヴァッセルヘルム大監獄』に着任した若き刑法官マリアンヌへ、国から衝撃の厳命が下った。

それは数年前、魔術師たちの反乱を扇動して捕らえられた男ギルロアとともに、未だ逃亡を続ける反乱の首謀者レメディオスを捕縛せよというものだった。

反乱軍と王国軍の戦いで故郷と両親を失ったマリアンヌと、反乱軍の魔術師にして大犯罪者であるギルロア。

水と油の二人は、口論を重ねながらも旅を続ける。

その最中、マリアンヌはかつての魔術師たちの反乱に隠された“真実”に少しずつ近づいていき――。

ーアマゾンより引用


〈ひとこと〉

実は僕はライトノベル作家、松山剛さんのファン。

彼の作品は『雨の日のアイリス』や『白銀のソードブレーカー』、『聞こえない君の歌声を、僕だけが知っている』を読んだことがある。

そしてこの物語が僕が読む4冊目の彼の物語。

物語の主人公は魔術監獄で働く若き少女マリアンヌ。

反乱軍の残党首領レメディオスを捕縛するため、彼女はかつて反乱を首謀した罪で投獄されているギルロアと共に旅に出る。

ギルロアはマリアンヌにとって国を揺るがした凶悪犯罪者。

最初はギルロアに対して嫌悪感を隠さない彼女だが、彼女は共に旅をするうちに重い過去を抱えたギルロアに好感を抱くようになる。

え、もしかして彼、悪い人じゃない?的な感じで。

僕はファンタジーを読むと、悪役に感情移入することが多い。

悪役っていうのは周りに嫌われてでも、周りに嫌われてでも自分の意思を貫く稀有壮大な人物が多いからだと思う。

悪役には悪役の理想があって、そして心の中に確固たる芯があって、その揺るぎなさに僕は心惹かれるのだ。

そしてこの物語はその悪役が物語の序盤から主人公の隣に居座る。

悪役の彼をちょっとずつ理解していくうちに、果たして「悪」ってなんだろうって、ぼんやりと思ってしまう。

だってギルロアは、法を犯した罪人だけど弱きものを救う正義の心を持っている。

面白い物語って素晴らしい悪役がいてこそ、成り立つものなのかな。

そう思った今日この頃。

 

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[rakuten:rakutenkobo-ebooks:17007454:detail]

『誰も知らない世界のことわざ』 エラフランシスサンダース-読書日記

タイトル『誰も知らない世界のことわざ』

著者   エラフランシスサンダース

訳者   前田まゆみ

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〈内容〉

意味がわかれば面白い!

世界を渡り歩くイラストレーターが教えてくれる51の世界のことわざ


〈ひとこと〉

茶店に行くと、よく雑誌の置いてある棚があるじゃん?

雑誌と一緒に新聞も一緒に並べられがちのあれ。

この本も訪れた喫茶店の雑誌コーナーでたまたま見つけたの。

ねえ、聞いて聞いて。

「あなたのレバーをいただきます」っていうことわざがペルシア語にあるの。

なんか物騒よね。

誰かの肝臓を頂いちゃうなんて。

ナイフとフォークでぐさりぐさりよ?

このことわざ、どんな意味かわかる?

実はねこのことわざ「あなたのことを心から愛している」っていう意味なのよ。

素敵だと思わない?

食べちゃいたいくらい愛してるって意味よ。

ああ、私にもそういう素敵なお相手が現れないかしら。

え、あなた彼氏ができたの?

そういうのは早く言いなさいよ。

で、イケメンなの?

あなた言葉なんてどうだっていいのよ、写真を見せなさい、写真を!

あら、つゆも滴るいい男…。

で、どこで出会ったわけ?

図書館⁈

図書館といえばこの前、月9のドラマでイケメン俳優が…。

(以下省略…)


〈雑筆〉

ちょっとふざけてみました。

 

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『ポチらせる文章術』 大橋一慶-読書日記

DAY

タイトル『ポチらせる文章術』

著者   大橋一慶

 

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〈内容〉

カリスマコピーライターが教える皆んなの興味を惹きつける文章術


〈ひとこと〉

ブログの閲覧者数が伸びない。

それがこの本をとった理由。

インスタで本の感想を書いているけれど、感想文が長文すぎて300人いるフォロワーさんのうち、たぶん2〜3人しか僕の感想を読んでいる人いないんじゃね?

本の写真だけじゃなくて、感想も読んで欲しい…。

そういうわけで本の感想文をブログに載っけてアップするようになった。

文章はインスタに載っけた感想文の流用。

1年間読書ブログを運営して読者は4人。

あ、皆んな僕の書いた本の感想文、思った以上に興味ないんだ…。

この本を読んでキャッチコピーや宣伝文の書き方を学んだ。

ブログを更新する度にTwitterで自分の読書ブログをPRしていたけれど、この本を読んでちょっと文章を変えてみようと思った。

具体的には「読んだ本の感想をブログで投稿しています。気になる方はぜひチェックしてみてください」という文章から、「2日に一冊、年間120冊以上の本を読む新卒新入社員の本棚を大紹介。気になる方はぜひチェック!」に変えてみようかなと決意。

承認欲求が満たされない。

工夫しだいで少しは読者は増えるかな。

なんか少し未来に期待です。

『たとえばいつかそれが愛じゃなくなったとして』ごめん-読書日記

タイトル

『たとえばいつかそれが愛じゃなくなったとして』

著者

ごめん

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〈あらすじ〉

その場しのぎのやさしい言葉を足して足して、

気がつくと濁った色に染まっていたね。

きみの背中が遠くなる。

寂寥感と虚しさ漂う、

毒々しい男女の別れの物語


〈ひとこと〉

この本はブックオフの「女性・人生論」の棚で見つけた。

なんかイラスト集のような本でした。

開いてみると、片方1ページにイラストがドーンと載っていて、その横のページに文章がつらつらと書いてある。

とーてもエモい文章がそれもまあ、はばかりもなく堂々と。

「ある日彼女のシャンプーの匂いが変わっていたことに気がついた。唐突に彼女が別の誰かになってしまったかのような錯覚を起こした」みたいな、「ベランダに出たら飾ってあった花がいつのまにか枯れていた。私たちの恋もそんなふうに終わった」みたいな、息苦しいような喘ぐような、そんな胸がキリキリ痛む男女の別れの物語が満載。

イラストもまたエモい。

イラスト集と小説が合わさったかのような一冊でした。

以前読んだ『乙女の本棚シリーズ』や『エコトバよだかの星』も、イラスト集と小説が合わさったかのような本でした。

 

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『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』 枯野瑛-読書日記

タイトル

終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?

著者 枯野瑛

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〈あらすじ〉

目を覚ましたら人類は滅亡していた。

地上は人類を根絶やしにした〈獣〉で溢れ、人類を除く生き残った亜人種は地上を追われ、空の浮島での生活を余儀なくされていた。

今、この世界で〈獣〉と戦うことのできる者は、カリヨンと呼ばれる古代兵器〈聖剣〉とそれを扱う少女の妖精兵のみ。

彼女たちの監督官となった人類最後の人間ヴィレムは、命をかけて敵と戦う宿命にある彼女たちの悲壮な想いを胸に受け止め、彼は彼女たちを死地へ送り出してゆく…。


〈ひとこと〉

終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』を1〜5巻読んでみて、この物語はちょっと異色なテイストを帯びているなあと感じた。

ファンタジー要素のあるライトノベルであるのにも関わらず、この物語は戦闘シーンが一切ない。

世界を滅ぼす〈獣〉と生存をかけた命懸けで身を賭す妖精たちの戦闘劇

それだけ聞けば世界の終わりを防ぐために主人公たちが戦って戦って戦いまくる物語のように聞こえる。

でも、全然戦わないんだ、それが。

この物語のテーマは「命懸けの戦闘に望む彼女らが〈獣〉との戦いを前に何を考え、どう行動するか」とか、「〈獣〉との命懸けの闘いから帰還した彼女らのゆくすえ」とか、多分そういうのなんだと思う。

この物語の重要なテーマは闘いの外にある、少女たちの不安定にゆれ動く心のありようだ。

「必ず生きて帰って来いよ」

少女はこの言葉を胸に死地へ赴く。

たとえ勝ち目のない戦闘であったとしても。

たとえ全滅は必死の絶望的な状況であっても。

そらでも彼女は一縷の希望と万感の思いを胸に戦場へ赴く。

好きな人に「ただいま」を言うために。

好きな人の元へ戻って来るために。

 

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『入社1年目の教科書』 岩瀬大輔-読者日記

タイトル『入社1年目の教科書』

著者   岩瀬大輔

 

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〈内容〉

「え、そんなこと?」って誰もが思うけど、仕事で絶好調スタートを切るには欠かせない50の簡単な原則。


〈ひとこと〉

この本にはいろんなためになるアドバイスが載っていた。

例えば「何のためにこの仕事をするのか考えよう」とか、「メモを片手に話を聞く」だとか、「新聞を読んでこの世の中を知っておくべき」などなど。

でも一番僕の心に響いたアドバイスは、「わからないことを上司に聞く時、わからない点を教わるのではなく、わからない点の『調べ方』を教わる」ことだ。

僕は今年の春に某飲食店の会社に就職したのだが、食器洗濯機の点検作業のやり方がわからなくて、先輩に食器洗濯機の点検作業のやり方を教えてもらう機会があったら。

自分の先輩は優しい方で、忙しい時間帯にわざわざ時間を自分に割いて、食器洗濯機の点検作業について教えてくれた。

そこまでは良かったのだが、後日にキッチンのマニュアルを見てみると、そのマニュアルに食器洗濯機の点検作業の手順が載っていることに気がついた。

先輩も暇ではない。

お客さんは次から次へとお店にやってくる。

先輩はお客さんに最高のサービスを提供するために身を粉にして働いている。

そんな先輩の大切な時間を奪ってしまった無知な自分。

今後はわからないことがあったら、むやみやたらに先輩に頼らないで、自分であらかじめ調べてから人に疑問点を聞くようにしよう。

そう心に決めた。

 

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『女生徒』 太宰治-読書日記

タイトル『女生徒』

著者   太宰治

 

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〈内容〉

女はだめね、鏡に映った姿が憎くてなりません。

太宰治が描く女らしさに悩む女性たちの哀愁漂う短編集。


〈ひとこと〉

インスタで太宰治の『斜陽』を読んだ投稿を見てむしよーに太宰治の作品が読みたくなった。

太宰治というと『走れメロス』なんかが有名で、てっきり「正義感あふれるまっすぐな心音の主人公」を描くのが得意な作家さんなのかなと思ったら、この短編集を読む限り、どうやらことはそう単純ではないらしい。

まあ、つまり、どういうことかというと、この短編集の主人公たちはおしなべて、陰気で根暗で「私なんてもうダメよ」みたいな言葉が口癖なくらい心に翳りのある女性たちだった。

もしかしたら太宰治という作家は、心に闇を抱えた人物の胸がきりきり痛むような悲痛な心の叫びといいますか、そういった悲愴な感情を文章にしたためるのが得意な作家さんなのかもしれない。

「私って、ダメね」的な言葉が、この短編集で何度繰り返されたことだろう。

思うに、この本の主人公たちは「女ってこうあるべき」っていう理想があって、その理想の姿と現実の姿が似ても似つかなくて、その理想と現実の隔たりが彼女たちを疲弊させているように思う。

彼女らは清涼な水で育った汚れなき一輪の百合の花のように、華やかで可愛く、そして健気に生きたいと望んでいる。

でも、人の悪口を言ってしまったり、友達のことを見下してしまったり、逆に嫉妬してしまったり、そんな負の感情が彼女らの胸の内に沸々と湧いてきて、彼女らを困惑させる。

人の悪いところばっかり目につき、まるで自分が世間に染まり汚れてしまったかのように感じて、彼女らはそんな自分が許せない。

読んでいるうちに、彼女らの思い煩う悩みが胸に響いて来て、肺に水が溜まったかのような息苦しさを感じた。

僕は人の話を聞かないし、聞いたとしても行動に移すのはごく稀で、世の中の流行りなんかにはてんで無頓着で、人と合わせることが苦手で、思ったことはすぐに口に出しちゃうタイプで、それゆえに友人関係に亀裂が入ることなんかしょっちゅうで、人に嫌われてもいいから「自分らしさ」を大事にしたくて、あやまたず友達が極端に少ないけれど、僕は欠点だらけで不器用な生き方しかできないそんな自分が、超がつくほど大好きだ。

自分のことが嫌いで好きになれない人がこの世の中にいて、そんな彼女らがその苦しさをそっと耳元で囁いているかのような、見て見ぬ振りはできないリアリティがこの短編集にはありました。

 

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『片恋の日記少女』 中村明日美子-読書日記

タイトル『片恋の日記少女』

著者   中村明日美子

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〈内容〉

探しても見つけ難いのに、恋とは突然訪れるのです――

表題作『片恋の日記少女』をはじめ、父と元・息子、父と娘の友達、姉と偽り男と会う弟、など、親子兄弟ジェンダーが入り混じったヒトとヒトとの多彩な関係をおかしく切なく描いた作品集。

さらに「原色メガネ男子標本」などショートや描きおろし番外編も収録!

ーアマゾンより引用


〈ひとこと〉

ブックオフの漫画コーナーで一目惚れ。

僕はなんだろう、「図書館」とか「日記」とかいうシチュエーションの物語に弱い。

「萌えシチュエーション」と呼ぶべきか、「図書館」とか「日記」とかそういったテーマを扱う作品には無条件で心惹かれる。

やはり本を読む人にとって、それらの言葉は身近だからこそ、僕らを包んで話さない不思議な魅力があるのだと思う。

中村明日美子さんの描く恋物語は、正統で王道な恋物語というより、一癖二癖のあるちょっとディープな恋物語が多いような印象を受けた。

表題作の『片恋の日記少女』は歳をとった堅物の教師がが電車の中で出会う名も知らない少女に恋をして、息子がその少女を親父の日記を頼りに必死こいて探す物語だった。

そして僕のお気に入り『とりかへばやで出会いましょう』は、出会い系で出会った男の元に姉に代わって弟が女装をして、その男性とデートをする話だった。

白髪のおじさんがなも知らぬ少女に恋をしたり、男が女装してデートしたり、ディープだなあ。

 

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『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』 氏家健治-読書日記

タイトル

『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』

著者  氏家健治

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〈内容〉

最初はイタリアンレストランのデザートメニューだった。

そのうちデザートとしてレストランで提供していたガトーショコラが好評を呼び、「お持ち帰りして食べたい」と言ってくださるお客様が現れた。

オーナーはテイクアウトでガトーショコラを販売することを決断。

当初は500gで1300円だった。

ガトーショコラを作り続けて数年、胸を張って「うちがベストだ」と言えるほどのクオリティになっていた。

そんな折、テレビ番組のオファーが届く。

自慢のガトーショコラの味をワンランク上げるため、容量を250g、値段を3000円で販売することを決意。

こうして「ケインズカフェ東京」の一切れ3000円のガトーショコラが誕生したのだった。

この長い長い道のりに、どんなドラマがありどんな葛藤があったのか、ケインズカフェ東京の「決断」の歴史をぜひあなたにも知ってほしい。


〈ひとこと〉

この本を読んで「あ、面白いな」と思った事柄は、『100をキーワードに一流を極めること』だ。

ブランド力強化のために著者は、自分の見聞を広めるために他の分野こ一流を知る努力をしているそう。

「映画評論家になるのは簡単だ。年間100本の映画を見れば誰でも評論家になれるに違いない」と言った有名な映画評論家がいたそうだ。

深くその分野を知るには、その分野を100個分見聞きし、経験すればいい。

著者は10年かけて100店舗の床屋を制覇したそうだ。

1000円台から一万円を超える高級店まで試した結果、旧キャピトル東京ホテル内にあった「村儀理容室」が別格だったという。

クリーニング店も100店舗以上試したという。

価格勝負のお店からセレブ御用達のお店まで試した結果、南麻布の「レジュイール」の技術が段違いだということがわかった。

スーツのケアだけに2週間以上、お値段は2万円と破格だが、それだけのお金を払う価値があると納得させられる見事な仕上がり。

分野は違うが「一流」を目指す職人の目からは、いろんなものが見えていたのだと思う。

自分の狭い世界であくせく努力するのもいいが、広い視野を持って「あ、こんなおもてなしをするお店があるんだ」と知識とひらめきを蓄えることも大事なのだ。

僕は休日にカフェを巡るのが趣味だ。

いつも訪れる馴染みの喫茶店でコーヒーを飲むのもいいけれど、一度も行ったことのない新しいカフェを探し出して実際に訪れてみるのも、それはそれで心が躍る。

僕もカフェ・喫茶店を100軒制覇してみようかな。

できるような気がする。

備忘録としてインスタに「カフェ・喫茶店アカウント」を開設するのもいい。

この機にカフェブログも新しく開設してみようか。

文章を書くのは好きだから、きっといい紹介文が書けると思う。

一冊の本を読んだら、やりたいことが3つ4つ頭に浮かぶ今日この頃。

 

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『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』枯野瑛-読書日記

タイトル

終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?

 

著者 枯野瑛

 

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〈あらすじ〉

目を覚ましたら人類は滅亡していた。

地上は人類を根絶やしにした〈獣〉で溢れ、人類を除く生き残った亜人種は地上を追われ、空の浮島での生活を余儀なくされていた。

今、この世界で〈獣〉と戦うことのできる者は、カリヨンと呼ばれる古代兵器〈聖剣〉とそれを扱う少女の妖精兵のみ。

彼女たちの監督官となった人類最後の人間ヴィレムは、命をかけて敵と戦う宿命にある彼女たちの悲壮な想いを胸に受け止め、彼は彼女たちを死地へ送り出してゆく…。

 


〈ひとこと〉

終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』は、ずっと気になっていたライトノベル だ。

全5巻。

読めない量ではない。

一冊めを読んだ時点で感じたことは、一巻はまだ物語の「序章」って感じだ。

この本は僕好みのダークファンタジーチックなライトノベル

でも、一巻では戦闘シーンもほとんどなく、

主人公の過去を深掘りしていく描写が多かった。

作者は主人公にどのような過去があり、そしてどのような業を背負い、どのような宿命と対峙しているのか、僕が読んだ一巻で事細かに語る。

まるで、主人公の過去の描写一つ一つが、これから始まる戦いが思い叶わず、悲しい結果に終わってしまうように、そしてそれを暗に示しているかのように、主人公たちの回想シーンは不吉な雰囲気を漂わす。

これから始まる戦いにどのような思いを抱えて主人公たちは挑むのか、この一巻を読んで痛いくらいに心に沁みた。

願わくば、主人公たちが見果てぬ敵を無事に打ち滅ぼすことを希う。

 

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『やさしいダンテ〈神曲〉』 阿刀田高-読書日記

タイトル『やさしいダンテ〈神曲〉』

著者  阿刀田高

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〈あらすじ〉

迷える時代を変えたヨーロッパの巨作を読み解く。

人は死んだらどうなるの?

地獄に堕ちるのはどんな人?

底には誰がいる?

迷える中年ダンテ。

詩人ウェルギリウスの案内で巡った地獄で、こんな人たちに出逢った。

ヨーロッパキリスト教の神髄に迫る!

ーアマゾンより引用


〈ひとこと〉

ダンテの『神曲』はずっと気になっていた古典だ。なぜ興味を持ったのかというと、野村美月さんの「むすぶと本。」シリーズで、ダンテの『神曲』を題材にした新作、『むすぶと本。七冊の「神曲」が断罪する七人のダンテ』が読みたかったからだ。

有名作品のパロディみたいな作品は、元ネタを知っている状態で読みたい派。

作品レビューには、「元ネタを知らなくても大丈夫でした。すごく面白かったです」って書き込みがしてあったけど、こういうのって、絶対に元ネタを知っていた方が面白いじゃん?

「むすぶと本。」シリーズは、泉鏡花『外科室』を題材にした、『むすぶと本。「外科室」の一途』、エミリー・ブロンテ嵐が丘』を題材にした、『むすぶと本。「嵐が丘」を継ぐ者』、坂口安吾『夜長姫と耳男』を題材にした、『むすぶと本。「夜長姫と耳男」のあどけない遊戯』がある。

そして今回は、ダンテ『神曲』を題材にした、『むすぶと本。七冊の「神曲」が断罪する七人のダンテ』である。

「むすぶと本。」シリーズのように、あらかじめ下準備が必要な物語は、けっこう好きだ。

たいてい元となった作品というのは、自分が普段読まない物語やジャンルだったりすることが多いので、普段は読まないような本に興味が湧くからだ。

ダンテの『神曲』も野村美月さんの「むすぶと本。」シリーズがなかったら、読んでもいないし、興味すら抱いていないだろう。

で、普段読まないような古典『神曲』を読んだ感想は、「やさしい」と書いてあるけど難しいじゃないか、広告詐欺だボケー!と仕事帰りの電車の中で発狂した。

 

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『アラサーだけど、初恋です。』 310-読書日記

タイトル『アラサーだけど、初恋です。』

著者 310

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〈あらすじ〉

「私、井上さんが初めての彼氏…なんです」

付き合いたての彼女・山本(28歳)に打ち明けられた井上(32歳)。

「俺も恋愛経験多くないし、一緒に頑張りましょう」

爽やかな笑顔でそう返した井上だったが内心では…

『俺も恋愛経験とか一度もない…けど引かれたくなくて言えない!!』

アラサーだけど初々しすぎる男女のラブコメディ!

ーアマゾンより引用


〈ひとこと〉

あーもう、こういう物語が好きだ。

自分も、恋を知らず気づけば大学を卒業した身なので、いい歳した大人が初めての恋心に翻弄されている姿に、とても共感。

顔を赤らめて初めての恋に一歩踏み出す二人の姿が、ういういしくて、いじらしくて、目が離せなくって、可愛い。

手を繋いで二人して心の中で絶叫する二人。

見つめ合ってどうしたらいいか分からず照れる二人。

話をするたび、相手に嫌われているのではとハラハラドキドキする二人。

何をするにもキュンキュンドキドキ、ウサギのように飛び跳ねる二人の心臓。

ああ、なんて綺麗な恋愛ななのだろう。

「春」を過ぎ「青」さの抜けた大人の日常に、突如吹き抜けた「青春」の風。

瑞々しく甘酸っぱいリンゴのような二人の恋に心躍った今日この頃。

 

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『よるのばけもの』 住野よる

タイトル『よるのばけもの』

著者   住野よる

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〈あらすじ〉

夜になると僕は六つの足に八つの赤い目を持った真っ黒な化け物に変身する。

真夜中に人を驚かせるのもそろそろ飽き、忘れ物をとりに学校へ忍び込んだ化け物姿の僕は、教室で一人の少女と出会う。

彼女はクラスでいじめを受けている矢野さつきという少女だった。

彼女は化け物姿の僕に怯えることなく、笑顔で「また明日」と言って去っていく。

毎夜毎夜、彼女と顔を合わすたび、僕の心境は少しずつ変化していって…


〈ひとこと〉

僕は今年、某外食産業の会社に入社して、新入社員として店舗に配属された。

驚くことに僕の職場はアルバイトの6〜7割が外国人労働者である。

ほとんどがアジア人の出稼ぎ労働者。

この本を仕事の休憩時間中に読んでいる時、外国人アルバイトの男の子に話しかけられた。

店舗で働く外国人アルバイトの方は、みんながみんな日本語を話せるわけじゃない。

日本語を全く喋れない人もいるし、日本語は勉強中でカタコトなら喋れる人もいる。

ちなみに彼は後者。

ちょっとだけなら日本語を話せる外国人スタッフだ。

「今、あなたが読んでいる本、貸してくれますか?」

まさかの英語で尋ねられた。

ちょっと焦る。

「え、どうして?」

僕も英語で短く答える。

残念ながらとっさに英語の長文は思いつかなかった。

「日本語の勉強」

彼はキラキラと答える。

うーんと、彼の問いに僕は渋る。

日本語を勉強し始めて間もない彼には、この本は少し。

いや、かなりハードルが高い。

少しの間、逡巡したあげく、「君にはちょっとこの本は難しいと思うよ」っと英語で言って、この本を彼に手渡す。

この本を受け取った彼はパラパラとページをめくると「読めない」と苦笑い。

そしてパタンと本を閉じ、二人して笑った。

はははと笑顔で笑う彼だけど、たぶん悔しかったんだろうな。

彼の目は穏やかで、悔しそうで、そして冷ややかだった。

自分の力量をちゃんと受け止め、諦めることを知っている目だった。

ひとしきり笑った彼は、「ニホンゴ、ベンキョウスル」と日本語でそう言って、休憩室へと立ち去って行った。

そこは日本語なんだ。

でもちょっと嬉しい。

悔しい思いをしてなお、日本語を勉強しようと思ってくれて僕は嬉しい。

日本語のことを嫌いにならないでいてくれてとても嬉しい。

言語のことで多かれ少なかれ、彼は毎日ショックを受けているはずだ。

日本語の看板がわからないとか、立ち寄ったお店のメニューが読めないとか、いろいろ。

ちょっとちょっとのつまずきが、彼の自信を大きく奪うのがたやすく想像できる。

だから嬉しいのだ。

彼が日本語に対して前向きに接してくれていることに。

休憩室で他の外国人アルバイトさんと楽しそうに雑談する彼の足元を見てみると、彼の靴下には穴が空いていた。

何年もはき古されたような、ヨレヨレな靴下だった。

それを見て、嬉しいんだか悲しいんだか、熱いんだか冷たいんだか、尊敬しているんだか憐れんでいるのか、よくわからない複雑な感情が心の中でぐるぐるとした渦巻いた今日この頃。

 

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『PIHOTEK ピヒュッティ 北極を風と歩く』 荻田泰永・井上奈奈-読書日記

タイトル『PIHOTEK  ピヒュッティ 北極を風と歩く』

文    荻田泰永

絵    井上奈奈

 

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〈あらすじ〉

たった一人で北極の大地を歩く冒険家・荻田泰永の命の旅路。

イヌイットの友人の一人(初老のハンター)が、ある日私に名前を与えてくれた。

イヌイットたちは、他の地域からやってきた者に対し、親しくなると名前を与える。

「お前はイヌイットネームを持っているか」と問われ、持っていないと答えると「じゃあ、名前をやろう」そういって手元にあったメモ用紙にボールペンでサラサラとアルファベットを書き出した。

「PIHOTEK」そう書かれていた。

「読み方は?」そう聞くと「ピヒュッティ」と答えた。

(略)

「ところで、この名前はどういう意味?」そう尋ねると「雪の中を旅する男って意味だ」と言う。(略)

「スノーウォーカー(Snow walker)って意味だな。お前にピッタリだろ」そう言って彼はニヤッと笑った”

ー本文より抜粋


〈ひとこと〉

僕は北極という場所に、言葉にできない憧れを抱いている。

北極に興味を持ったきっかけは、極北の自然の営みを撮り続けたカメラマン、星野道夫の本を読んだのが大きい。

うーん、代表作を挙げるとすると、写真集『グリズリー』やエッセイ『旅をする木』が有名かな。

まあ、星野道夫のことは彼の本や写真集を読んだ時に嬉々として語ろうと思うので、ここではあえて彼のことは語らないでおこうと思う。

秘すれば花って言うしね。

僕は「自然」とか「旅」という単語が好きなんだと思う。

川の流れを聞き、木々のざわめきに耳を傾けるのは、とても心地がいい。

見ず知らずの場所に単身でヒョイと乗り込むのも心が踊る。

それゆえに、高校でも大学でも、僕は登山部に所属していた。

誰もいない自然の中を歩きたかったんだ。

それは隠しきれない僕の性だ。

だから極北の氷海の上を、ソリに荷物を乗せ、髪の毛すら凍りついてしまう極寒の中、たった一人旅をする作者の背中は、僕の目にはとても大きく見えた。

たぶん僕の心の中にいる「旅人」の延長線に、星野道夫やこの本の作者さんがいるのだと、本能的に理解したからだろう。

憧れの人の背中は大きい。

自分の「好き」を追求したその先に、彼らのような冒険者が待っているのだろうか。

追いつけるだろうか。

並べるだろうか。

わからないが、憧れとか目標とかって、自ら向かっていくものでは無くて、いつのまにか辿り着いているものという認識が強い。

だから僕は自分の好きを追求しながら、気ままに暮らしていこうと思う。

いつか頂上に辿り着いているはずだから。

今年の夏は仕事の合間を縫って八ヶ岳に登りにいこうと思う。

ああ、でも上層亀山で釣りをしながらキャンプもいいな。

台湾にも行きたいし…。

ああ、もう、行きたい場所がいっぱいある。

行きたい場所がありすぎて悩む今日この頃。

 

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『君の100回目の恋』 よしづきくみち-読書日記

タイトル『君の100回目の恋』(1〜3巻読了)

原作  Chocolate Records

漫画  よしづきくみち


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〈あらすじ〉

"君と出会うために生まれてきたんだ。世界で一番私幸せだよ。明日太陽が昇らないとしても、あふれる愛に、包まれていたから"

ー本文より抜粋

 

「何度でも君に恋をする」的な、何度も時を戻して主人公がヒロインを救い出そうとする恋物語


〈ひとこと〉

僕はタイムリープやタイムスリップなど、時を巻き戻る系の積年の恋物語が好きだ。

その手の物語でお気に入りの作品は、七月隆文『100万回生きたきみ』、戌井猫太郎『青い桜と千年きつね』、綾里けいし『終焉の花嫁』、などなど。

この物語は死の運命にあるヒロインを主人公が、何度も時を戻して救い出そうとする恋物語

めっちゃタイプだー、この物語。

「何度でも君に恋をする」みたいな恋物語が好きな僕にどストライクな物語だ。

男の子が女の子のためにギターを片手に、彼女のためだけのオリジナルソングを歌うんだけど、そのシチュエーションもロマンチック。

恋に恋する今日この頃。

 

〈グループ〉